タネカワハゼ

Stenogobius  sp. A 

 

外見の特徴

 は円柱を上下に少し伸ばしたような形をしており、体の断面は縦長の楕円形をしています。 は上のほうについていて、砂に潜ったときでも目だけを砂から出すことができます。 2背びれと尻びれの基底部が大変長く、腹びれは大きくて平らなので吸盤としての吸着力はとても弱いようです。 槽のガラス面に吸着して定位することもありません。 から頬の後方にかけて斜めに涙のように走る黒色帯があり、この模様は頬にかけて太さが太くなっています。 

腹びれは白く縁取られますが、メスでは特に体調などによって無色になることもあります。 目から下あごに伸びる黒色の太い模様がとても目立ちます。 腹びれは吸着力は弱く、定位するために使っています。

 体の色は肌色っぽい灰色で、腹側は白くなっています。 に目立つ色の斑紋もなく、婚姻色の出たオスを除けば体色としてはとても地味な魚です。

 はコイやフナのように前方に伸び、砂ごと口に含んでえらから砂のみを出すことができます。 のため唇は分厚くて口は大きいですが、他の魚に噛み付いて傷をつけたりすることはありません。

 調にもよりますが、腹びれと尻びれは端部が白く縁取られ、色の濃い石の上に乗っているときなどはこの白が目立って見えます。 スは第一背びれが後方に伸び、大型の個体では第二背びれと重なります。 た、第2背びれと尻びれの後方もメスに比べるととても長く伸びて、尾びれに触れます。 スは尾びれも後方に伸び、中層を泳ぐ姿は優雅に見えます。 

 には胸びれから尾柄部にかけて1本の黒い帯がありますが、求愛行動時に婚姻色の出たオスはこれと交差するように10本以上の細くて黒い横帯が現れます。 た、第1・第2背びれともに端部が外側から白、赤、白の帯で縁取られます。 

 長には顕著な雌雄差はなく、比較的早いペースで12cmほどにまで成長します。

 

分布状況

 鹿児島県以南の琉球列島や台湾、小笠原諸島に分布しています。 た、別種とされていますがハワイや南半球の島々にも外見の酷似した種類が広く分布しているのも興味深いところです。 本に分布する種類も精査されているとは言い難く、同属の魚が国内にも複数種分布している可能性があります。 かでも本種は分布する場所には安定して見られる種類のようです。 

 

生活 

平常時は同種間でも激しい闘争はせず、温厚な魚です。 奥はメス、手前はオスで、オスの背びれはメスと比べると白と赤の縁取りが目立ちます。

川の中・下流にある純淡水域の平瀬で砂底になっているようなところを好んで生息しています。 川内での分布域は、河口からの距離という点で見るとヒナハゼと近い地点で見られることが多いようです。 だし、ヒナハゼは流れの弱いところや岸寄りのところに多く見られるのに対して、本種は流心に近いところや幾分流れのあるところを好みます。

間は活発に行動し、わりと神経質で、追うと素早く反応して底をすべるように逃げていきます。 のためか、河川で婚姻色の出た個体を見かけることは少ないように思います。 

小さまざまな体長の個体が混じった5匹前後の群れで生活していることが多く、砂を口に含んで食べ物を探している様子がよく観察できます。 た、体色が砂に似ていることもあり、底に潜ってしまうと発見するのが困難になることがあります。 だし夜間は砂に潜らずに眠っていることもあり、このときは手でも触れられることがあります。

 

飼育 

砂に潜っている状態。 目は砂から出して周囲の様子をうかがっています。 驚いたときや夜に眠るときなどは全身隠れるように潜ることもあります。

夫で闘争もあまりせず、食べ物も草食性のエサから赤虫まで何でも食べてくれるので、とても飼いやすい魚です。 やエビなどを捕食することもないので、大型の個体でも小型の他種やいろんな魚と一緒に飼育することができ、しかも愛嬌のある行動を見せてくれるので、私はとても好きな魚です。 た、水深のある水槽で飼育すると、ひれをひらひらさせて優雅に中層を泳ぐ様子も見られます。

種の特徴的な生態のひとつに、コイやフナのように砂ごと口に含んで食べ物を探し、砂のみをエラや口から吐き出す行動が挙げられます。 れはフィールドで観察していてもよく見られる行動で、水槽でも細かめの砂利を敷いてあげると、エサの匂いがしたときなどに活発にこの行動を始めます。 淡水域のハゼでこのような行動をする魚は珍しく、とても愛嬌のある行動でもあります。

の行動は飼育する上でも考慮した方がよい場合もあり、例えば砂利に直接植えた水草やレイアウト時に配置したものなどを掘り起こしてしまうこともあります。 の一方で、行動範囲の砂利を常に耕してくれるので、砂利の表層部や底に残ったエサの食べ残しなどをきれいに保ってくれます。 

長は比較的早く、40cmくらいの水槽で飼育しても10cmほどに育ちます。 たがって、小さい水槽であればはじめは幼魚であっても2、3匹くらいで飼育した方がよく、本種の生態や求愛行動などをじっくり観察したい場合は60cm以上の水槽で飼育した方がよいでしょう。 

愛行動時には本種同士で多少闘争をするようになりますが、他の魚にはあまり害が及ぶことはありません。 姻色はオスに現れ、体が幾分黒ずむほか、第1・第2背びれの上端部が白と赤に縁取られ、体には普段は不明瞭な細い暗色の横帯が10本ほど現れます。 た、メスよりも伸びた背びれや尾びれ、尻びれをいっぱいに広げたオスの姿は優雅でもあり、迫力もあります。 卵しているのかは確認できていませんが、全身が隠れるような石の隙間などを好んでオスが巣穴を掘ります。 育下では脇役として見られることが多い魚だと思いますが、本種のことも考えた水槽で飼育するといろいろと興味深い生態を見せてくれる魚です。

 

★★★ タネカワハゼ ピクトリアル ★★★

 口はとても大きく開きますが、砂ごと口に含んで食べ物を探すためのものなので、小さな魚でも食べてしまうことはほとんどありません。

 オスの成魚は背びれと尾びれ、尻びれがとても長く伸び、中層を泳ぐ姿はとても優雅に見えます。

 こちらはメスの成魚。 1背びれが小さく、目だった斑紋もありません。 もオスに比べると小さく、オスよりも愛嬌のある顔に見えます。

 スの第1背びれは後方にかけて広がる台形のような形になり、先端は糸状に伸びて第2背びれに達します。

 ちらは求愛行動の様子。 スは大きなひれをいっぱいに広げて、中層でメスのまわりを回るように泳いで見せます。 のときはひれの端部の色も普段より鮮やかになります。

 姻色の出たオスは、ひれの端部の赤や白が鮮やかになるほか、体には暗色の横帯がはっきりと現れます。 段は目立った斑紋が現れない魚なので、派手ではありませんが、気迫が伝わってくる体色です。

 

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