スミウキゴリ

Gymnogobius petschiliensis

 

外見の特徴

 の前半部はやや上下に平たく、後半部では左右に平たい体型なのはウキゴリ類3種(ウキゴリ、スミウキゴリ、シマウキゴリ)に共通した特徴ですが、本種は 腹部から尾びれの基底部までの太さがあまり変わらないせいか、背中側のラインが直線的な印象を受けます。 キゴリ類の他種とは、若魚ないし成魚では第1背びれの模様を見れば一目瞭然で、後端部に白黒模様の斑紋がなく、縞模様があるのみです。

 可愛い盛りで食欲旺盛な幼魚期。 ウキゴリ類の3種は幼魚期の判別が難しい面もありますが、尾びれ基底の斑紋が1点明瞭にあり、尾びれが黒く、体の背中側からお腹側にまで走る縞模様が後方にかけてはっきりとあるなどの点で判別ができます。

 側に大きな横縞模様が並ぶのは他のウキゴリ類と同様ですが、体の後半部ほど模様が明瞭になっているのは本種だけです。 の模様は体の後半部ではお腹側にまで達しており、お腹側が白い他種と比べると体全体が暗い色に見えるひとつの要因になっています。 た、体長や気分によっては体の背中側が淡い色になることがありますが、これはウキゴリ類の中では本種だけに現れる体色パターンなのではないかと思います。 ワアナゴ類なども背中側が淡い色になることがあるので、汽水域では何かこの体色が有効に作用する環境があるのかもしれません。

 柄部にある黒色斑は ウキゴリ3種の中で最も大きく明瞭です。形に近いその斑紋は、体側の模様から独立してひとつあるので、とても目立ちます。 びれにある縞模様は成長するにつれて縞の数が増えていきますが、同じ体長のウキゴリやシマウキゴリと比べると一般に縞の数が少ないようです。

 魚の頃は 、同所的に見られることも多いヨシノボリ類の幼魚と混同されることもありますが、 本種の場合は体の後半部の横縞模様がかなりはっきりと現れ、体色も幼魚期は透明度が高く白っぽいことから、慣れると判別は容易です。 雄差は成熟した個体の第2背びれの大きさや、ひれの端部の淡色部の大きさなどに現れ、オスでは特に顔の形が上から見ると四角に近い形にな ります。 た、春の産卵期に抱卵したメスは、腹部が黄色に染まります。

 

分布状況

 海道から九州にまで生息しています。 川の中・下流域 に生息するほか、魚類相が貧相な都市河川などでは最上流域に見られることもあります。 細なデータはわかりませんが、海とつながりのない湖沼などでは見られないのではないかと思われます。 キゴリ3種の中でも本種は海を経由した分散を効率よく利用している印象がありますし、実際の生息数を見ても、分布の限界域周辺でもなければ本種を希少視する必要のある環境はあまり無いのではないかと思います。

 

生活

 真横から見ると背筋がまっすぐで、ウキゴリ類の中ではスマートに見えます。 背鰭は橙色ないし赤色に染まり、なかなか美しいところもあります。 全体的に砂地のような光沢感の無い体色に見えるのも本種の特徴です。

 種はかつて 「ウキゴリ汽水型」と呼ばれており、 ウキゴリ3種の中では最も下流側に生息すると言われることが多いですが、小河川などの多彩な河川環境下では必ずしもそうではありませんし、淡水域であっても普通として出現します。 マウキゴリが中流型と言われるので混乱されやすいですが、本種の好む ような岸辺付近の水の淀みが通常は下流側にある場合が多いということであって、本種の分布エリアよりも下流側に中流形態の平瀬がある場合などは、そこにシマウキゴリがいたりします。 キゴリとは同所的に見られることも多いですが、その場合は本種は底が細かい砂やまたはコンクリートになっているような岸よりの止水部を好み、わずかでも流れのある 領域の方にウキゴリが見られることが多いようです。

 種はウキゴリ3種の中で最も河川環境を選ばない種類であることは確かで、大河川でも小河川でも、水がきれいでも汚くても分布しています。 果的に、河川でウキゴリが見られる場合には同じ河川に本種も生息している場合がほとんどのように思います。 類相が貧相でヘドロ臭もあるコンクリート岸の都市河川にも見られ、ある一定のエリアに見られる魚類は本種のみというようなところもあります。 ういう河川では最上流にまで本種が分布することもあります。

 川の岸近くで大きな障害物の陰に広い空間が広がっているようなところを好む傾向があり、下流域のそういった場所では若い個体が中層 で群れを作ってを浮いて泳いでいることがあります。 れいな水が本流に流れ込むような場所の平瀬では、成魚が石や障害物の下に隠れていることもありますが、本来生息場所として好む環境ではないものと思われます。 種しか見られないような都市環境ではエビ類も見られない場合があり、そういった場所では何を食べているのか不思議に思うことがあります。 虫やイトミミズ、あるいはザリガニのような水生生物を食べているか、または共食いが発生していることもあるのかもしれません。

 

飼育 

 比較的大型のメス。 腹部は黄色味を帯びています。 背中側が明るい色になる体色は、ウキゴリ類の中でも本種独特のものです。

 育しはじめたばかりの頃は人影に敏感に反応したり、振動などに敏感なところもありますが、徐々に慣れてきます。 れ場所を見つけて隠れる習性 はウキゴリ3種の中で最も弱く、水槽でも中層を浮いて泳ぐ行動が一番見られるのは本種ではないかと思います。 だ、それでも障害物は配置してあげた方が落ち着いてくれます。川でもかなり汚染の進んだ環境にいることがあるくらいなので、飼育下でもとても丈夫な印象のある魚です。

 槽内で も流れの無いところを好む傾向があります。 た、慣れてくると闘争(なわばり争い)も頻繁に行うようになります。種間の闘争が一番激しいですが、他の種類に対しても縄張りから追い出す行動などが見られます 。 だし、他の魚のひれに噛み付く ような様子は無く、直接他の魚に怪我をさせるようなことはありません。

 サは動物性のものを好み、赤虫などを与えるとよく食べます。 た、食べる時は口を大きく開けて水ごと吸い込むようにして食べます。 たがって、あまり小さな生き物と同居させると、予想よりも大きなものも丸呑みしてしまうことがあるので、注意が必要かもしれません。 層を浮いて泳ぐ様子は河川のハゼとしては珍しくもあり、ヨシノボリとも全く異なる泳ぎ方なので、体色こそ地味ですが、観察しているとなかなか面白い魚です。

 

 

★★★ もっと スミウキゴリ ! ★★★

 い個体ほど、水槽でも中層を浮いて泳ぐ様子が見られます。 構癒される動きを見せてくれます。 びれ基底部の黒色斑はとてもよく目立ち、体色が一様に淡くなっているときでも明瞭に現れます。

 

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