ピーコックガジョン

Tateurndina  ocellicauda 

 ハゼの仲間の中でも際立って美しい種類のひとつで、しかもこれがカワアナゴの仲間だというのが驚きです。 腹びれは吸盤状にならずに左右別々になっていて、やや平らな体つきは国内のハゼではタナゴモドキに近い印象ですが、また違った属の魚です。 観賞魚界では卵生メダカ的な高価で美麗な小型魚という位置付けでしたが、近年は繁殖個体が出回り始めて一気に身近な種類になった感があります。

 

外見の特徴

 ひれの端部に黒い色が目立つメス。 オスより少し地味なものの、それでも十分な美しさと愛らしさを持っています。

 体型はやや縦に平らで、尾びれの方向に向かって細くなる細長い形をしています。 頭部は丸みを帯び、繁殖期のオスは額が出っ張って独特の顔つきになります。 最も目立つ色は背びれと尻びれの縁に現れる鮮やかな黄色で、その内側にはこれも鮮やかな朱色の模様が沿っています。 体の側面は金属光沢のある水色を基調に朱色の模様が細かく整然と並んでいます。 これらの美しい模様は体調によって大きく変わることはなく、いつも美しい姿を見せてくれるところも本種の大きな魅力と言えるでしょう。 若く未成熟な頃の雌雄の判別は意外と難しいのですが、成熟するとオスは背びれと尻びれがメスより若干長く伸び、額が肥大し、メスはお腹が黄色くなって膨らんで、尻びれの外縁には一本の黒い線がオスよりも目立つようになります。 繁殖個体の販売が定着して小型の個体を見かけることが多くなった気がしますが、本来5cm以上に成長する魚のようです。

 

 

分布状況

 パプアニューギニアの河川の下流域に生息しているようですが、詳細は不明です。 見てのとおりの美しさから鑑賞・販売目的での採集圧が心配されますが、最近の価格等から察するに、店頭には繁殖個体が出回っていることが多いのではないかと思われます。 本種が繁殖しやすい生態を持っていたことが結果的に彼ら自身をかろうじて絶滅から守っているというのが現状なのかもしれません。

 

 

飼育

 見事な原色に身をまとった姿は、水草の緑の中では一段と映えます。 フワフワッと中層を自由気ままに泳ぐ様子は、実に癒されます。

 飼育はとても容易で、若干の塩分を加えた方がよいとも言われるようですが、純淡水でもまったく問題なく飼育できます。 本来は流れの弱いところを好むものと思われますが、飼育下では結構流れのあるところまでエサを食べに行ったりもしています。 口に入るものなら何でも食べるようで、エサにも困りません。 同種間では多少の争いがありますが、あまり激しくなく、一般的な小型熱帯魚と同じ感覚で飼うことができます。 本種の魅力のひとつに、水槽での繁殖が可能である点が挙げられます。 産卵させるためには水流の弱いところにパイプ状のものや下に隙間ができるような障害物を設置します。 その空間にオスが縄張り意識を持ち始めたらしめたものです。 あとは気長に産卵に至るのを待つだけで、産卵後は50個前後の卵をオスが1週間ほどにわたって守り続けます。 孵化直前に親を含む他の魚を卵と隔離すると、孵化した稚魚が食べられことなく泳ぎだすことができます。 孵化した稚魚は小さいですが、細かくすりつぶしたエサやブラインシュリンプなどを食べて育ちます。 ハゼの仲間は産卵はしても飼育下で普通に育てることができる種類はあまりいないので、本種は美しいだけでなく、興味深く愛らしい生態をじっくり見せてくれるとても貴重な魚でもあるわけです。

 

★★★ もっと ピーコックガジョン! ★★★

 額が大きく張り出して独特の威風を発する、成熟したオス。 黄色や赤の模様も繁殖・求愛行動時には一層鮮やかになります。

 一連の産卵行動を終え、ひと段落したオス(上の写真と同一個体)。 張り出していた額も一度引っ込んでおとなしい顔に戻っています。 尻びれをよく見るとひれの条の1本1本にも赤い線が入っていて、顔を近づけて見てみるとほんとにきれいな魚です。

 激しいやりとりはあまりなく、厳かに行われる求愛行動・・・。 よりそって泳ぐようになると産卵も間近です。(手前がオス、奥には並んでメス。)

 白いプレートの裏に産みつけられた卵。 すでに産後1週間ほどたっていますが、まだ卵黄は残っており、もう少し父親に面倒見てもらってもよかったのかもしれません。 この頃から卵の中で稚魚は時々動いたりします。

 さらに数日後、卵黄の吸収と同時に体がしっかりしてきて、卵の中では窮屈そうになってきます。 こうなると孵化も目前、写真左上には一番に孵化した稚魚が!

 

 

お気軽図鑑 TOP へ

TOP ページへ       もくじ へ