キバラヨシノボリ

Rhinogobius  sp. YB (Yellow Belly)

 

外見の特徴

 種 はクロヨシノボリと近縁な魚で、体色や特徴もクロヨシノボリとよく似ています。 色は体調や環境、気分などにより激しく変化し、 クロヨシノボリと同様で頬に赤色の小斑点があること、胸びれの基底付近に暗赤色をした三日月形の斑紋があること、背びれや尾びれの端部が黄色に染まる、尾びれの中央部に点列模様がある、などの特徴は変わらずに見られるようです。

こちらは石垣島の集団のメス。 繁殖期というわけではないですが、お腹の黄色は鮮やかです。 クロヨシノボリに似ていますが、第2背びれの高さが若干高く、体に輝白色の縦帯が現れます。

 題はクロヨシノボリと本種をどこで判別するか、ということにあるのですが、@ 背中側に散在する暗赤色の小さな斑点以外では、体の模様が縦方向にほぼ一様かあるいは連続した模様である(クロヨシノボリのように不連続な模様や交差型の模様が現れることはない)、A 体側中央のやや背中側に1本の輝白色の縦帯が見られ (2つの背びれの中間のあたりが特に明瞭、クロヨシノボリの輝白色の模様は交差型の模様のひとつとして現れるので縦帯を成さない)、体調によってはその下に太い暗色の縦帯が1本現れる、 B クロヨシノボリよりも第2背びれが大きく伸びる(本種の方が流れの弱い環境に適応した特徴が出ている)、C頬の小斑点、第2背びれや尾びれの点列模様が、同所的に生息するクロヨシノボリよりは明らかに多く、密にある (奄美大島の本種はこの限りではない)、などの違いが見られます。 種が混在する河川で の判別は、@の基準が比較的わかりやすいのではないかと思います。 川での観察時や採集時に見かけるクロヨシノボリは、本種のように体の模様が無地に近いということはほとんどなく、一般的に同所的に生息するクロヨシノボリの方がかなり派手な魚に見えます。 槽での両種の体色は互いによく似たものとなりますが、南西諸島のクロヨシノボリは赤茶色の強い体色(九州以北のクロヨシノボリでは藍色を帯びる)なのに対し、本種はアオバラヨシノボリのように肌色ないし黄色味の強い体色になります。 種の判別は水槽の中よりも観察・採集時の方が容易なので、両種が混在する箇所での観察は楽しいものです。

 

 

分布状況

石垣島の集団のオス。 この集団では、第2背びれが丸みを帯びて大きく伸びます。 例えるならば、タナゴ類のカネヒラのような背びれの形でしょうか。

 美大島から西表島までの島の一部の河川の上流域に生息しています。 られた環境に依存する繁殖形態のためか、人工的な工事の影響などを受けた河川では生息数が著しく減少しているようです。 だし、本来の環境が残っている箇所ではかなり高い密度で生息しており、渇水時に水が枯れるような河川では本種のみが広い流域を占拠する場合もあるようです。 人で飼育するだけの少数の個体を、多数が生息する河川から持ち帰る にもその環境を見て判断する必要があり、しかも生息河川が少ないことや、地域ごとの条例による採集禁止などの情報は念頭においておく必要があります。 お、奄美大島の集団は他の集団と遺伝的に 大きく離れている集団であることが知られており、しかも奄美大島が属する鹿児島県の条例で島からの持ち出しが禁止されております。

 

 

生活

 流域 で本種のみが生息しているような環境ではかなりいろんな環境で見られますが、本来は流れのほとんどないような大きな淵を好むようです。 れの速いところで見られる個体は淵を移動する途中である場合が多く、流れの速いところを安定した縄張りとする習性はありません。 ロヨシノボリと同所的に生息している場合は、クロヨシノボリよりも流れの弱いところを好む傾向があります。 きな淵で観察していると、小競り合いを頻繁に繰り返している様子が見られますが、クロヨシノボリに比べると闘争は激しくないようで、群れているというのに近い状況の様子も見ることがあります。 た、本種しかいない大きな淵に踏み入ると、好奇心の強さから、あちこちから様子を見に集まってきて、気が付くと本種に囲まれていることもあります。

 種の卵は降海型のヨシノボリのものとカワヨシノボリのものの中間的な大きさで、稚魚は海に下らず、岸の淀みで遊泳生活を送ります。 の遊泳生活は緩い流れのある環境であることが必要なのか、あるいは限られたエサに依存しているのか、環境の変化の影響を大きく受けるようです。 数の稚魚が水面付近を遊泳している様子はなんとも微笑ましいものがあります。 の光景はコイ科の中・上流魚がいない南西諸島では珍しい光景で、そういった魚がいた場合には本種にとって脅威になるのかもしれません。 姻色や繁殖行動はクロヨシノボリとよく似たいるものと思われますが、どのようにして交雑を防いでいるのか も非常に興味深いところです。

 

 

飼育 

こちらは友人宅でゴクラクハゼやフナと一緒に飼育されている沖縄本島の集団のとても立派なオス。 砂の色など気にしない様子です。 この集団のオスは第2背びれが平行四辺型に大きく伸びて、頬の小斑点がかなり密にあります。 なんとなく、クロヨシノボリではないな、と直感的に思わせる個体。

種はクロヨシノボリと同様に水槽内では気が強く、他種を直接追わなかったとしても同居魚が恐縮してしまうことが多いようです。 かし、他の魚に噛み付いたりする様子はないので、魚の組み合わせや目隠しなどを工夫すれば、混泳ができないというほどではありません。 育に際して特別に注意することはあまりなく、冬場の水温が17度くらいを下回らないようにする以外はあまり飼育環境の好みがうるさくないようです。 サについても他のヨシノボリ類と同様、やや肉食性に偏った雑食性で、冷凍赤虫などを好んで食べるほか、草食魚用の配合飼料も食べているのを見かけます。 だ、上流に生息する魚ではあるけれども流れは弱い方が好みのようなので、落ち着いた状態で飼育してあげようと思ったり、繁殖を狙う場合は水流が強くならないように注意しましょう。 は本種を繁殖させたことはありませんが、本種は稚魚が比較的大きなサイズで生まれてきて、すぐにしっかりした遊泳生活を送るので、降海型のヨシノボリ類よりも繁殖は容易だと思われます。 だし、繁殖が容易ということは生存率が高いということでもあるので、たくさんの成魚が育って激しい闘争が勃発することをきちんと想定して繁殖させたり、殖えた魚を近所にも現地にも決して放流しないで、責任を持って飼育する意識を持つことが大切です。

 

 

 

★★★ もっと キバラヨシノボリ! ★★★

 ちらは奄美大島での1枚。 がクロヨシノボリ。 が本種。 美大島の集団は頬に小斑点が無かったり、体色が真っ黒なメスがいたり、少し変わった特徴を持っており、遺伝的にも大きく離れている集団なのだそうです。 手な体色のクロヨシノボリと比較すると地味に見えるのは他の集団と同じです。

 

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