飼育の工夫の実例

ここではハゼを主役にした水槽のレイアウトの工夫や混泳の実例を紹介します。

 

 

1.水槽のレイアウト

 

 シノボリ飼育においては、目隠しをどう配置するかが重要になります。 真は左がシマヨシノボリ、右がルリヨシノボリで、ともに大型の個体。 に平らな石を立てて配置することで、体ひとつ分くらいの距離にいる2匹の闘争を防いでいます。 見せまくて息苦しそうに見えますが、大きい固体でも気に入ったブロックを中心にあまり頻繁に隣へ移動しないため、闘争は小競り合い程度にすんでいます。 の状態で普通に産卵もします。

 

 

 ちらは高低差を利用して視野を遮った例。 下のブルームーンボウズハゼは単独行動型の種類で体調がよくなると大変気が荒くなる種類ですが、左上にいるナンヨウボウズハゼは見えていません。 同生活型でおとなしいナンヨウボウズハゼは、見つかったらすぐに遠くに追い払われてしまいます。 のように、ある魚の目から闘争しそうな相手に向かって直線を引いたときに間に障害物があれば闘争を防ぐことができます。

 

 雑な形をした流木も目隠しには有効です。 前のシマヨシノボリのメスからは木の上のルリヨシノボリの若魚は見えていません。

 

 の平らな水草は小型魚の絶好の隠れ場所になります。 に水槽に入ったばかりの魚はほかのハゼに見られないところでじっとして体が慣れるのを待つので、有効に利用しているのをよく見かけます。

 

 ちらも平らな石の利用例。 のインドネシア産カエルハゼは大変気が荒い魚ですが、水槽に来てすぐにご覧の大きな黒い石がとても気に入った様子。 には巣穴も作ってあり、顔をだけ出した状態でも視界に入ったハゼを追い払いに出ます。 こで、お気に入りの石のすぐ横に石で目隠しを設置。 れが効果絶大で、目隠しができたぐらいではお気に入りの石を捨てることはしないようです。 お、目隠しは防風壁にもなってしまうので、設置すると壁の下流側の水流は弱くなります。  

 

 型魚でも目隠しや隠れ場所の基本は同じです。 真はナガノゴリで、神殿型の置物を横に倒した状態で中と外を出入りするのが好きな様子。 ろに写っている大きなスッポンモドキは素早いハゼを捕まえることはとてもできませんが、近づいてきたときに隠れられる場所があると長い目で見て落ち着いた生活ができるようです。 にナガノゴリなどのチチブの仲間は複雑な構造物をいくつも縄張りにしてパトロールするのが大好きです。

 

 れらの工夫を凝らしてのヨシノボリ水槽の例がこちら。 上から上部ろ過の水が落ちてきて、矢印の先にはそれぞれヨシノボリがいます。 から、シマヨシノボリのメス、アオバラヨシノボリのメス、アヤヨシノボリのメス、ボウズハゼの若魚、水槽のボスのルリヨシノボリ、流れの速い石の下にヒラヨシノボリのオス。 員のそれぞれの視界には1匹も見えていません。 の45cm水槽にはさらに大小5匹以上のヨシノボリがいます。 れているものもいますが、写真に写っているほかにマークの位置に隠れている個体が出てきても誰の視界にも入りません。 流域の流れを好む種類は水槽内でも水流のあるところを好む様子も観察できます。 たがって、同じ流量を好む種類をたくさん飼育するよりは、上流から下流まで種類を分散させて混泳させるのも狭い水槽の工夫のひとつです。
   
 

2.混泳

 シノボリとボウズハゼの仲間では大きさによほどの差がないと食べられてしまうことは無いので、種類や地区集団ごとの性格を理解して混泳させることが大切になります。 真のトウヨシノボリは濃尾平野産で、若魚のせいか不思議なほどおとなしい性格の集団。 なくともこのサイズのうちは小型ボウズハゼにちょっかいを出すこともありません。 かしトウヨシやカワヨシは気が荒い集団がとても多いので、水槽に連れてくる場合には十分に気が荒いことを想定した用意をしておいた方がよいでしょう。 ぐ近くの川に住んでいても性格が全く異なることもよくあります。

 

 

 ウズハゼの仲間はハゼ以外の魚に噛み付くことはしないので、大きなボウズハゼでもいろんな小型魚との混泳が可能です。 真はサイパン産小型ボウズハゼとカージナルテトラ。 れが気が荒い種類のヨシノボリでは幼魚であってもほかの魚に噛み付くことがあります。

 

 カボウズハゼやカエルハゼの仲間はオスが特に気が荒いようですが、ナンヨウボウズハゼの仲間には興味が無い様子。 まり系統樹的に近い仲間しか攻撃の対象としないのです。 れはとても興味深いことで、たとえばボウズハゼがヨシノボリよりもミナミハゼをかなり強く意識することや、アカボウズハゼと南米産ボウズハゼが闘争することなどからそれぞれの仲間が近い仲間であることが予想されます。 真は手前から黒青型、並んで赤青型のナンヨウボウズハゼの若いオス、その奥にアカボウズハゼのオス。 んとなく微笑ましい写真になりました。

 

 ゼと混泳が可能なエビの代表はヤマトヌマエビ。 真の中国ヨシノボリは気が荒いヨシノボリですが、小さいうちはエビを攻撃することもありません。 のように、その個体が成長することも想定して、大きくなったら顔ぶれを考え直す用意もしておかないと犠牲者が出てしまうことになります。 のほかにハゼとの混泳が可能なエビとしては、ロックシュリンプの仲間などがあります。 かの小型ヌマエビは攻撃されなくてもハゼを恐れる傾向があって落ち着いて生活できないほか、小型でも手長エビの仲間はハゼを攻撃したり、石の下をめぐってハゼと競合して結果的にハゼの好むスペースを減らしてしまうことになったりします。

 

 常に温和(というか同種も含めたほかのハゼに無関心)な性格のウシヨシノボリ。 型ボウズハゼとも長い目で見ても問題なく混泳させられる珍しい性格のヨシノボリです。 のほかに性格の温和なヨシノボリとしてはアヤヨシノボリやアオバラヨシノボリなどがありますが、大きくなってくるとどうしても小型ボウズハゼにとっては脅威になるようです。

 

 

 型ボウズハゼの代表であるナンヨウボウズハゼ属の中でも集団生活型の種類は混泳の可能性もかなりの範囲に広がります。 地でも高い密度で生活しているので、水槽でも同様に飼育できます。 マトヌマエビはもちろん、グッピーとの相性も問題なく、グッピーの稚魚も食べられることはありません。 だし、集団生活をさせている中では繁殖行動が控えめになるので、そういった行動をしっかり見たいという場合は共同生活型でも少数の個体で飼育した方がいいようです。 お、写真のヤマトヌマエビたちは奄美大島にいた個体で、現地でもハゼとの付き合い方を知っているせいか全く恐れることをせず、自由に水槽の中を歩き回る様子はとても癒されます。 真は中央のプレコ用のフードに集まってきたサイパン産小型ボウズハゼたちとヤマトヌマエビとグッピー。

 

 

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