『台湾論』を読んだゾ


小林よしのりの"問題作"台湾論を読んでみました。本来、彼の著書は『戦争論』などもあって余り買う気にはなりませんでしたが、想像以上に台湾と中国でリアクションが起きてるので気になってかってしまいました。(これじゃ、R15指定を受けて話題になった「バトル〜」を見に行くヒトと同じじゃないかよ。という意地悪な質問はしないで下さい^^;)

ざっと読んでみての印象は、それほど悪いもんでもなかったってことです。台湾や中国が批判している従軍慰安婦に関する内容のページは300ページ近くある中で、わずか3ページほどでした。勿論、この従軍慰安婦という"腫れ物"を肯定的に書いてしまった点では、はっきいって不味いですが、残りの大半は、台湾を好意的に紹介しています。

趣旨としては、中国(この場合、中華人民共和国)から離れて、国際社会からも見放された島国の台湾が、民主化を成し遂げ、"国産み"の根源を探ろうとすると設定です。 台湾が何故、中国から離れて、このように成功しつつあるのか?それは「日本精神」「武士道」にある著者は言う。日本の植民地支配50年に中で培われた精神、敗戦と共に日本が捨て去ったそれが台湾には残っている!という具合です。その中では、前総統だった李登輝氏とも著者は二回会って、その中で持論が一層加速していく過程が、その台湾論なのかもしれません。

勿論、いつも物議を醸す著者だけに「えっ?」と思うことも出てきますが、(台湾統治の成功を単純に満州に当てはめるところや、中華文化から脱却し独自の文化を開花させることに成功したのは、日本に他ならないとか。(←当の中国人は、はなからそんなこと思ってないのに…))全体を通して、台湾を知るには面白い本でした。中でも、金門島の話などは、良かった。

韓国では、日帝の支配もあって当時の人は、かなりの反日派が多いですが、それと対照的なの台湾で、親日派も多い。それは、この本でなくてもよく聞く話で、その所以はなにか?というのは、いつも話題になること。それを彼なりに負っていくと、日本の支配が良かったんだということになってくる…。

私は、台湾に一回トランジットで蒋介石国際空港に降り立っただけなので、生の台湾人の話を聞いたことはないのでなんともいえないですが、彼の言ってることも一理あるだろうし、李登輝前総統を始めとする親日派がいるということも紛れもない事実であることは確かなのではないでしょうか。

歴史というのは、一方の見方があれば、もう一方の見方もあるわけです。 以前、アメリカの先住民族について書いたことがあって、その中で私は、

<アメリカの見方について>  

歴史を見る際「イギリス系アメリカ人の書く〈アメリカ史〉とアメリカ先住民の書く〈アメリカ史〉とでは、すべてが逆になり、しかも両方がある意味で正しく、両者をプラスして2で割ったような〈中間的歴史〉の如きのものは存在しない。」(本多、285p)のであって、「滞在期間の長い人ほど、そのアメリカ間も「正確だ」と考えられる、ある種の「幻想」は決定的に否定できる。」(本多、286p)のもうなずける話である。

「アメリカは、先住民の土地をふんだくって、虐殺して、黒人奴隷にい酷使させた国」という言い方が「偏向している」と言われたとする。

しかし、裏を返せば「開拓精神に燃え、フロンティアを目指し幌車を進め、豊かになり、世界に誇るべき民主主義が発達した」という言い方も「偏向している」のである。

物事の両面を見る方法論としてはアメリカは実にいい例だと思う。今まで私は「表」ばかり見てきた。これからは「裏」を「表」にしていきたい。まだまだ圧倒的に「表」を「表」として見ている人が多いから、私のような「偏向している」人がいても調度いいかもしれない。

と、数年前の文章ですが、以上のようなことを書いてました。

これを台湾のも当てはめると面白いかもしれない。 日本帝国主義が台湾を植民地にして、住民を搾取しまくった。>>これも事実としても、「裏」にももう一つの見方がある。「日本はいいこともしたよ。ほ〜ら、李登輝始め こんなに知日派と親日派がいるじゃないか!彼等を礎に、台湾は今、国産みの最中なんだ!」という見方に対して、私は、そこまで抵抗を感じないのはなぜだろう…。寛容になったのかなぁ(笑)

まぁ、歴史論争はさておき、李登輝がこんなに台湾のことを思い奮闘し、その熱意が陳水扁にバトンタッチされたことなどを交えて、台湾旅行記っていうような軽い感じで読んでも良いくらいです。

この本が中国語訳になってしまったために、著者は、台湾の入境を禁じられてしまいました。台湾を好意的に書いて、多くの日本人に知ってもらおういう熱意があったのに、なんとも皮肉な話です。中国人が読んだら、江沢民とか毛沢東が恐ろしい顔になってるし、国共内戦後に大陸から台湾へやってきた外省人も酷い書かれ方してるので、肯定できないでしょうが、少なくても台湾人(中でも本省人)が読めば、そんなに気分を悪くするようなことを書いてるように思わないのですが…

果たしてどれだけの台湾人がこれを読んでヒートアップしたのでしょうか?
このヒートアップぶりと、中国の動きが呼応してるのを見ると、何年か前、尖閣諸島(魚釣島)に日本の右翼団体が、灯台を設置したことに、中国&台湾&香港が一緒になって烈火の如く抗議したのを思い出します。自然に湧きあがった同胞意識からの中華ナショナリズムでしょうか?それとも北京語しか話せない大陸系台湾人と中国共産党との合作なんでしょうか?(国共合作^^;)

著者は、今までの言動からして、ますます過激になってしまうのでしょうか? この際、反中共シリーズで、そろそろ、チベット問題を声高になにか、書いて欲しいものですね。日本中のチベット・フリークの広範な支持を得られることでしょう。

以上、私のつれづれなるままの読後感でした。 今回、この本のお陰で、若干物価の高い台湾ですが、一度行ってみたくなりました。



ps 『台湾論』の参考文献になぜか渡辺満里奈の本があったのには笑えました。



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