【アルバム名】
BLUE STOMPIN’ (PRESTIGE)
【リーダー名】
HAL SINGER (1959/2/20)
【パーソネル】
CHARLIE SHAVERS (tp) HAL SINGER (ts) RAY BRYANT (p)
WENDELL MARSHALL (b) OSIE JOHNSON (ds)
【収 録 曲】
BLUE STOMPIN' / WINDY / WITH A SONG IN MY HEART / MIDNIGHT / FANCY PANTS /
THE BLAST OFF
【内   容】
「さば塩焼き」のお話の続きです。なんのことだかわからない人は前回の原稿を読 んで貰えればいいんですが、わざわざ読み返す必要はありません。おじさん3人がお昼 に仲良く「さば塩焼き」を注文したと。ただそれだけです。この店は夜には居酒屋にな るわけなんですが、座敷、テーブル席、こあがり、カウンターという座席構成になって おります。いつもは店の奥のほうの、あ〜ん、もっと奥なのぉ♪という場所にあるテー ブル席を利用している僕たちなんだけどぉ、今日はそっちのほうが満席だったので、こ あがりのほうに上がったわけです。こあがり。わかりますかぁ?座敷みたいに畳がひい てあって座敷机が置いてあるんだけど、まわりがフスマとか障子で遮蔽されていない空 間。だから「あ〜ん、こんなところでぇ♪」というようなコトをいたしていると周囲の 注目を浴びちゃうから一般の家庭ではあまり見られない家屋構造なんですが、居酒屋、 うどん屋、小料理屋などではわりと頻繁に見受けられます。その、こあがりに座ってお 茶をすすってサバの到着を待ち侘びていると、隣の座敷机に若いぎゃる3人組が座った わけです。ずっと前にも書きましたが、名古屋でランチタイムに外の店でOLと隣接す る確率というのは極めて低いのであります。高く見積もってもOL含有率は20パーセ ント程度で、店によっては店のおばちゃん以外は全員オッサンであるという大変憂慮す べき事態に陥ることも少なくありません。よって、隣の島に若いぎゃる3人が座ったと いうことは、心の中でそっとバンザイ三唱したくなるほど、たいへん喜ばしい事態なの でございます。淡いロマンスが生まれるかも知れませんよね。乞うご期待。
 
 さて、さば待ちタイムを利用して横目でちらちらと観察したところによると、そ の若いぎゃる3人組は「若いぎゃる」と呼ぶにはいささか無理があるかな?という感じ の年代であることが判明しました。いや、それはイイんです。私はどっちかというと「 オトナの女」のほうがタイプでございまして、例えば女子高生などというのはもぉ、た だただやかましいだけで、パンツも見たくないわい!というのが本音でございます。そ の点、世の中の女性を「若い」と「若くない」の2種類に分類した場合、どちらかと言 えば「若い」ほう・・・カナ?といった感じのその3人組はたいへん好ましい存在であ るわけです。顔のほうも3人とも、世の中の女性を「かわいい」と「そうでもない」の 2種類に分類した場合、どちらかと言えば「かわいい」ほう・・・カナ?といった感じ でありまして、それほど極度の面食いではない私としてはストライクゾーンぎりぎりい っぱいで、フォアボールかと思って1塁へ歩きかけたところ、ストライクといわれてエ ッ?といったところ。それほどケバくないところは大いに好感が持てます。僕ってば清 純タイプが好きなんだモン♪で、その3人組のほうも料理が届かなくてヒマなものだか ら、こっちの様子をチラチラとうかがっているのでございますな。
 
 そうこうするうちに「はい、サバ塩でーす!」という声と共に、我々のところに サバ塩焼きが届けられたわけでございます。で、こちらとしてはどうしても若いぎゃる の反応が気になってしまいますよね。東海林さだお的世界では、サバを食べてるサラリ ーマンはOLから「まあ、あんなサバなんか食べてっ!おウチ貧乏なのね、稼ぎ悪いの ね、きっと馬鹿なのね!」と蔑まれることになっているんです。馬鹿にされたらどうし よう?で、隣の様子を窺っていると、ぎゃる達は「あら、サカナもあったのね。」とい うようなことを話しているのであります。おそらく、我々おじさん3人組が揃って注文 した直後にサバは売り切れとなり、店頭から生サンプルも撤去されたのでしょう。そし てその口ぶりからは「おサカナがあるんだったら、まりな、それにすればよかったのぉ ♪」といった様子がありありとうかがえるのでありました。いや、まりなっていうガラ の顔ではないんですけどねま、いずれにせよサバはぎゃる達に受け入れられたわけであ りまして、すっかり安心した私は重厚な手つきでカボスを搾ると、意気揚々とサバ塩を つつき始めたのでありました。
 
 と、ここまではよかったんですが、料理が届かなくてヒマなのか、私に一目惚れ したのか、それともよっぽどサバに未練があったのか、ま、おそらくは2番目だとは思 いますが、とにかく斜め前に座っているぎゃるが、さかんにこちらに視線をおくってく るわけなんです。鞄の中から扇子をとりだして、それでパタパタとあおぎながらチラチ ラとこちらを見るんですよねー。私はヒジョーな緊張状態でポーズをつけながらサバ塩 焼きを食べることを余儀なくされました。ああ、こんなに疲れるサバを食べたのは何年 ぶりだろう?などとしばし感慨に耽っているうちに「扇子ぎゃる」にようやく注文の品 が届けられ、私は視線地獄から解放されたわけです。「扇子ぎゃる」が頼んだのは「す き煮定食」。きっと店のお兄さんに「私、すき煮にしてぇ♪」とか注文して、言われた お兄さんは一瞬「私を好きにしてぇ♪」と言われたのかと思ってガバっと襲おうとした ところ、まわりに囲いのない「こあがり」であることに気付いて、すんでのところで思 い止まったという事例も過去にあったものだと思われます。ちなみに「すき煮」という のは「すき焼き」を焼かずに煮たものですね。大きな皿に入って出てきます。けっこう 汁がだばだばです。私をはじめとするこの店のおじさん客は皆、皿の中の「すき煮」を 一口分ずつお箸でつまんでは、お口に運んで食べておりました。「すき煮」というのは そのようにして食べるものだと信じていました。ところがですな、斜め前の「扇子ぎゃ る」は違いました。おもむろに皿の中の「すき煮」をすべて、ドンブリめしの上に移動 しはじめたのでございます。そして、すべての具をめしの上にのせ終わると、今度は皿 を持ち上げて中に残った汁をだばだばとゴハンにかけたのでございます。こうしてワシ ワシと豪快にメシを掻っ込んでいる「すき煮丼ぎゃる@元・扇子ぎゃる」を目の当たり にして、イジイジとサバ塩をつついていた自分が急に卑小な存在に思え、そそくさと店 を後にしたのでした。おしまい。
 
 @ さ、ハル・シンガーですな。ハル・シンガーといえば前回の俳句王決定戦に
 
  この冬に 倒れた爺ちゃん 春死んだー
 
という作品を出品したんですが、評判は今ひとつでしたなぁ。個人的には人生の哀 感を感じさせるなかなかの作品だと思っておったのですが、あまりにも「ひねり」がな さすぎる点が不評をかってしまったのでしょう。で、このハル・シンガーという人につ いては、おそらくソウル系のテナー奏者ではないか?という以外、なーんの知識も持ち あわせておりませんので、ちょっと「コテコテ・デラックス」(通称「コテ・デラ」) で調べてみたいと思います。
 
HAL SINGER 〜 ブロウの鉄人
 
1919年10月8日オクラホマ州スマタ生まれ、いや、タルサ生まれ。(←ぜん ぜん違うぞ。)38年から42年にかけてジェイ・マクシャン楽団で演奏。その後ニュ ーヨークに渡り、ホット・リップス・ペイジ、ロイ・エルドリッジなどと共演。ラッキ ー味醂だ楽団にも参加した。48年録音の「昆布列島」がヒットし、一躍人気ホンカー に。(後略)
 
ラッキー味醂とか昆布列島とか、ずいぶん味にはこだわりのある人とお見受けしま した。で、なんとなく60年代に登場したソウル・テナー奏者だと思ってたんですが、 スイング時代から活躍しておられたヒトだったんですな。で、この『ブルー・ストンピ ン』というアルバムもちゃんと紹介されております。コテコテ・テナーというとオルガ ン・トリオをバックにした演奏が脳裏に浮かびますが、このアルバムはピアノ・トリオ をバックにしたオーソドックスな2管クインテット編成。んでもって、ピアノが趣味の よいレイ・ブラいや〜ん♪と来れば、一般ハードバップ・ファンとしても、ちいとは食 指を動かされるのではないかと。んなわけで、では聴いてみましょう。
 
 1曲目、タイトル曲の「ブルー・ストンピン」。ストンピンというのはメンタン ピンの親戚でありまして、よくドラが2枚ついてアガったりします。「サヴォイでスト ンプ」なんて曲もありますし、寒い時にはやっぱり湯たんぽだし、行楽のお供にはやっ ぱり酢昆布だねっ♪
という、ちょっぴり「古きよき時代のジャズ」を思わせる作品でございます。チャ ーリー・シェイバースのトランペットと春死んだーのコレク恥部・インプロヴィゼイシ ョン的なカラミがニューオリンズの薫りを漂わせております。もぉ、とってもジェリー ・ロールなのぉ♪中間派っぽいスタイルのシェイバースのソロに続いて、ブラいや〜ん ♪の味わい深いソロが堪能できます。続く春死んだーのソロは、いかにもホンカーって 感じですな。シェイバースのペットも絡んできて、演奏は大いなる盛り上がりをみせま す。うーん、ハッピーですね。
 
 2曲目の「ウインディ」はシェイバースのオリジナル。そのシェイバース君はミ ュートを付けて吹いてるんですが、ロイ・エルドリッジ的な歌心を披露してくださいま すね。続く春ちゃんも、ほのぼのとブロウしとります。3曲目はスタンダードの「ウィ ズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート」。ミディアム・テンポで演奏されることの多い 曲ですが、ここではしみじみとバラードで聴かせてくださいます。ちょっぴりベン・ウ エブスターや、あ〜、イクぅ〜♪ケベックを思わせるハル・シンガーの吹きっぷりも悪 くありませんが、ここでの聴き物は霊・ブラいや〜ん♪ですね。テディ・ウィルソンを 彷彿させる珠玉のソロを聴かせてくれるわけなんですが、やっぱり幽霊というのはノー ブラなんすかね?ま、確かに黒のレースのブラなんか、あんまり似合わないような気も しますけどね。で、幽霊が出るのは真夜中と決まっておりますが、4曲目は「ミッドナ イト」という曲であります。シンガーのオリジナルなんですが、これはかなりコテコテ のスローブルースでございます。で、幽霊と言えば着物姿が相場でございますが、やっ ぱり白のズロースとか穿いているんですかね?案外、ファンシーなパンツを穿いている のかもしれませんが、なんせ幽霊のスカートをめくって確かめたことがないので、なん とも言えません。ということで5曲目は「ファンシー・パンツ」という曲ですな。シェ イバースのオリジナルなんですが、パンツ好きのおじさんにはもぉ、たまんないのぉ♪ という曲を期待していたらそうでもなく、軽快なジャンプ・ナンバーでございました。 これはきっとミニスカートはいて軽快にジャンプすると、ふぁんしーなぱんつが見える のぉ♪ということを暗示してるんでしょうな。スカートの短い女子高生にはぜひ軽快に ジャンプしてもらいたいものでございます。
 
 はい、ラスト。「ザ・ブレスト・オフ」。これまた軽快なスイング風のナンバー です。以上です。


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