こぼれ話@

咲の日本語的履歴書−日本語教師への道

最近、「咲さんはどうやってそのキャリアと手に入れたんですか?」というご質問をよく受けるようになりました。
キャリアっつーほどたいしたもんでもないし、まだまだ駆け出しだし、あえてあんまりHPには書きませんでした。
しかし、日本語教師を目指す読者も多いようだし、ここは読者サービスとして、日本語教師的経歴をひとつ。
いわば裏自己紹介ですが、ほんとにたいしたもんじゃないですよ。


 まずそもそもの始まりは

大学で日本語教育を専攻していました。ただしゼミは、日本語教育とはあまり関係のない、「日本文化学」なるものを選択し、主に日本思想、民俗学なぞをやっておりました。「学問としての日本語教育」には、そんなに興味を持っていなかったということかな?

 なぜに日本語教師に?

これはとっても難しい。なぜなら、その時々で、すべて気持ちが違うから。簡単に言えば、
@大学に入学したとき
 漠然と「日本語教師」という職業に憧れて。
A大学を卒業したとき
 この頃は日本語教育より「国際協力」とか「民族アイデンティティーの形成」とかに傾倒して、「日本語教師になる」ことより、「海外生活をする」ことのほうが主目的でした。
Bなっちまった現在
 日本語学校での留学生教育に足を踏み入れてからは、そのおもしろさに取りつかれ、これ1本に。何がおもしろいって、「学生の人間的成長を間近で見られること」「一人一人と深くかかわれること」ですかな?やはり、「日本語教育」が主体ではないようです(今気付いたけど)。まあ、すでに「他にできることがない」と言うのも現実(笑)

 さて本題。−「日本語教師への道」

 まず、大学四年生から、わたしは、「青年海外協力隊派遣」を目指しておりました。しかしそれに振られつづけ、そのまま「協力隊浪人」に突入。ぷろふぃ〜るにあるような、怪しいバイトを転々とし、とある日本語教室を主宰する団体にも所属していました。(すみません、「ボランティア」という言葉は好きではないので。  

  ↓  

 友人がいいました。「フリーターは1年が限界。」その言葉を噛み締めつつ約八ヶ月。さすがに根無し草のような生活に疲れて、将来への不安も手伝って気弱になってきました。
 その頃、ある日本語学校から中国へ派遣されていた同級生から手紙が。
「自分は帰国したいから、後任で中国に来てくれないか。」
 この誘いは、気弱になっていたわたしの心をブルンブルン揺さぶりました。余談ですが、彼女が行っていた派遣、実は学生時代わたしも面接を受け、わたしの方からお断りした話でした。協力隊があきらめきれなかったんですね、この頃は。
 しかし、根無し草もそろそろ潮時かと思い、その日本語学校に電話を入れてみました。すると、「履歴書を持ってすぐ面接に来るように」とのお言葉。

 フリーターの気安さで、フットワークも軽く近畿地方まで行ってみると、何だか知らんがそこの校長にいたく気に入られ、「採用するか否か」はすっとばし、「で、いつから来ます?」という話に。
 さらにおりしもそこの専任の先生が一人、3月で留学のため退職されるとかで、後任を探しており、「まずは本校勤務でどうか、できるだけはやく中国には行かせてやる」という話になりました。
 当時のわたしは、民間日本語学校、しかも国内なんて考えてもみなかった道なので、まさに青天の霹靂。上にも書いたように、当時海外志向が強かったわたしは困ってしまいました。しかし、追い討ちをかけるように中国留学が決まっていたそこの専任教師Nさんが、

「この世界に生きているなら、こんなおいしい話は滅多にないことはわかると思います。」

とあま〜い言葉をかけました。
 んで、熟考の末、「限度は1年」と言う条件付で、関西の日本語学校にお世話になることに。当時バイトしていたなんだか怪しいインターネットクラブは、後1ヶ月で閉店することが決まっていたし、時期的にはまさにドンぴしゃりだったんですよ。
 その後、マブダチになったNさんが白状したところによると、「どうしても中国に行きたかったから、誰でもいいから後任を見つけるのに必死だった」のだそうな。つまり、「とにかく誰か来てぇ〜」という時期に、のこのこあたしがやってきた。まさに「カモネギ」だったわけですね。うまく釣り上げられたような気もしないでもない。

 さて、のこのこ関西までやってきて、日本語学校勤務。これが大変でした。
 何せ恥ずかしい話ですが、当時のわたしは、民間日本語学校の知識は全くなし。就学生と留学生の違いもわからない。日本語能力試験の存在すら知らない、という、教師の風上にも置けないアマちゃんだったんです。スーパー進学校のこの学校に入って、そりゃもう無我夢中。毎日の平均睡眠時間は3,4時間、とにかく自分の能力も知識も年齢も追いつかない。自分の甘さを痛感しました。
 、「これは1年では足りない」と思い、そのまま2年目に突入。学校からも、「そろそろ中国へ行く?」と言う話はまーったく出ませんでした。キョーレツな人手不足だったので、こんなあたしでも抜けられたら困ったみたいですね。

 でもって日本語学校2年目に突入。・・・した時点でわたしは中国にいかなかったことを心の底から後悔しました。なぜなら、他の専任教師が諸事情で、みんなやめてしまったから。(円満退社です。一応。)つまり、教師2年目にしてトップというおそろし〜い事態がわたしを待っていたのです。非常勤の先生をアレンジし、学生の指導をし、さらに新任の先生を指導し、経営側と現場の意見の違いを処理し、加えて教務の仕事もし…

無理です!!!

 発狂寸前で半年がすぎ、ようやく頼りになる先生もみつかり、新しい先生も育ち、息がつけるようになりました。あの頃のことを思い出すと身震いがする。私の神をも恐れぬタカビーな性格は、あの頃に形成されたと信じています。
 ああ、控えめで温室育ちな私はどこに。<そんな人はどこにもいなかったって。

 さて、息をついたところで、わたしの中でにわかに現実味を帯びてきた「咲さん中国行き計画」。が、対外的にはすでにカビが生えかけていました。学校側は、「もう中国に行かずにここにいれば?」「てゆーか、行くなよ。困るから」っつー感じだったし、わたしとしても、当時の安定した職を捨てるのは勇気がいることだったんですよ。根無し草に戻るのはもう嫌だったし、すでに、日本語学校での留学生(就学生)教育にかなりのおもしろさも感じていたし。

         

 しかし、そこでわたしを動かしたのは、「行きたい」という気持ちではなく「行かねばならぬ」という気持ち。
 
協力隊浪人の頃は、「現地の人と交わり、同じ目線で生活することによって何かをつかみたい」と思っていましたが、移り気なわたしは、この頃は「学生と私の立場を変えたい」と思っていました。日本で、日本人の私が、日本語を外国人に教える、という「マジョリティーとマイノリティー」の関係を打破したかった。つまり、「外国で教えることによって、自分の立場をマイノリティーに置き換えたい」と言うことですね。それによって学生の気持ちをさらに理解することができるのではないかと、甘い期待を持っていました。
 加えて、年齢も、周囲の状況も考えると、外国行きはこれが最後のチャンスだと思いました。(あくまでも、わたしにとっては。)

後で後悔するよりも、今、捨てられるもんは捨てたっていいじゃねいか!

という男気(?)な結論に至りました。
 それと最後に、この仕事を目指す者、続ける者にとって、「外国で教えてみたい」というのは一種の「夢」なんですよね。

 ちゅーわけで、行きたいわけじゃないが、「行かねば後悔するかも、そして行くなら今しかない」という切迫感がわたしを駆り立て、中国行きを決意しました。
 学校には、「中国に行かせてください、行かせてもらえないなら、退職して、別の方法で外国で教えることを考えます。」ときっぱり言い放ち、学校も了解してくれました。
 実は、最初は学校側は渋っていたのですが、済南の提携校で、緊急に教師が必要になり、「カモネギ」なわたしを行かせざるをえない状況でもあったんですね。この学校の派遣は、すべて現地再用の形を取っているので、わたしも例外ではなく、日本語学校を退職、現地との契約を結び、中国へと旅立ちました。

                                                 

 こうして、お気楽腹黒日本語教師は中国にてさらに助長していったのでした。(完)

 

もっと劇的なものを期待していた人、すんません。
私のここまでの道のりは、「運」「成り行き」に85%左右されています。

 

 最後に、これから日本語教師になろうとされている方へ。

就職は、「運」と「タイミング」でけっこう決まる。


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