例解新国語辞典(三省堂)
日本語教師ならば、誰でもこの問題で悩んでいるはず。
「はたして、最高の国語辞典とはどれだ?」
初級を終了したあたりから、教師にとって国語辞典は手放せないものになってきます。しかし、日本語学習者に教えるために使いやすい辞書はなかなかみつからない。せっかく説明してあっても、逆にその説明が難解だったりして、「使えん!」と辞書を投げ出すこともしばし。
で、いろいろな国語辞典を渡り歩いて、わたしが「これだ!」とお勧めできる国語辞典がこの例解新国語辞典。まず、語彙の説明が非常に明確でわかりやすい。しかも的確。字や見出しが大きく読みやすい。句例が多い。学習者が持つのにもいいと思います。中学生を想定して編集しているらしいんですが、1級レベルの語彙は十分網羅しています。日本語学習者にはこれくらいが最適なのではないかと思うのです。私はここしばらくずーっとこれです。
ま、欠点がないわけではない。例えば「明らか」を引いてみましょう。
「明らか:疑いなくはっきりしている。」
で、当然「はっきり」を引いてみる。
「はっきり:他のものと区別できるほど明らかだ」
・・・をい。 とまあ、こういうことが、他の辞書に比べてちょっと多い。でも、やっぱりこれが一番!
他にもお勧めできるのは、同じく三省堂の現代国語例解辞典(第2版)これは、擬音語、擬態語が充実しています。アクセント表記があるのもうれしい。辞書はやっぱり三省堂なんでしょうか。
教師と学習者のための日本語文型辞典(くろしお出版)
文型辞典の決定版とも言うべき辞典。文型にとどまらず、副詞、複合動詞も充実しているすごい本です。きっと持っていて、活用している方も多いでしょう。かくいう私も持っています。しかし、どちらかというと、私はこの本の否定派です。
なぜかというと、これをバイブルに教えている先生が非常に多いから。「これ一冊あれば、中級は大丈夫」と豪語する人も。そういう使い方に危険な匂いを感じます。
読みこめばわかるんですが、この辞典には学習者のレベルによっては蛇足のような使い方も説明されてるし、文型の意味説明は、日本人もよく咀嚼しないと理解できないほど難解です。おそらくこの説明を私の生徒に読み聞かせてもさっぱりピーマン(死語)でしょう。例文も豊富ですが、また、使われている語彙、状況が非常に難解なものも。
誤解のないように言っておきますが、別に内容が悪いと言っているのではありません。内容の充実度、文法理解の切り口の斬新さは他に類を見ません。ただ、なまじ内容が充実しているだけに、教師がよく理解しないまま、「この文法の意味はこうだ!」と、教えてしまう。そういう意味で大変危険な本だと思うのです。(それは日本人の日本語教師に限りません。)つまり、使う側の心がまえの問題ですね。
文法の解釈の仕方、意味の分け方は、あくまでも個人の理解の範疇であり、「これが正しい」という定説はあまりないものなのだから(私は、文法なんて結局、学習者がわかって使えりゃそれで十分と思っています)、自分の頭でその文型を考え、理解するための手がかりとして使うべき本だと思います。特に、これから日本語を教えようと思っている方には、授業準備にそのまま使うのではなく、あくまでも参考として、自分の知識増加のために使って欲しい本です。
使い方のわかる類語例解辞典(小学館)
やっぱり中級以上で日々お世話になる類語辞典。「##と**は何が違いますか?」という教師にとって最もおそろしい質問のときには手放せません。数ある類語辞典の中では、これが一番。しかし、「最高」とはいいたくない。だって、まだ内容が足りないような気がするんだもん。もっと詳しい類語辞典が出るのを待ってます♪
とはいえ、各語彙の比較と、違いの説明、句例を使った対照などはなかなかお役立ち。特に能力試験対策の、語彙の授業の時、めちゃくちゃ使いました。また、語彙にとどまらず、「わけ」とか「もの」とか、機能語の範疇に属するものも載っており、意外なところでも役に立つ。ぜひ一冊、持っておいたほうがいい辞典です。
副詞用例辞典(凡人社)
今まで私が教えた学生、生徒が口をそろえて「難しい」と言うのが、副詞の意味とその使い方。教える側にとっても悩みの種。一口で説明できるもんじゃないですもんねぇ。そんなときに、大変便利なのがこの辞典。B6という小型サイズながら、内容は充実。まさに、痒いところに手が届く副詞辞典です。また、例文も豊富で、使いやすい。(副詞を教えるときは、言葉で意味を伝えるよりも、例文とその状況でわからせるほうがはやいと思う)副詞オンリーの辞書って、確か他にはなかったように思うんですが(わたしの知る限りなので、実はあるのかも)、この辞典、済南の学校にも置きたいと思って、日本の学校の校長におねだりしたんですが、品切れだか絶版だかしてて、すでに手に入らず。う〜ん、かなり残念だぞ。
で、副詞辞典は、ないとヒジョーに困るものなので、今ピンチヒッターとして活躍しているのが中国で購入した『日語副詞例解』(天津大学出版社)。何を参考にしたかしらんが、これがかなりいいのです。日本語での説明プラス中国語訳も載っていて、さらに、例文も充実。難を言えば、掲載語が少々少ないことかしら。「ほしい!!」と思った人、中国に来てください。(笑)
基礎日本語辞典(角川書店)
これも、日本語教師にとってはバイブル的存在。ふと疑問に思ったときまず引いてみて、詳しい解説と例文に驚き、「なんでこんな古い例文が・・・」と、ちょっと憤り、思いもしなかった別の使い方と類義語に戸惑い、読めば読むほど頭がこんがらがって、ドツボにはまって困っちゃう辞書(笑)。そんな体験をした方もいるのでは?私はそうでした(笑)。
しかし、「自分の頭で考える」ためのヒントは必ずくれる。本当のところ、こういった辞書こそ、私ら教師はしっかり勉強しなければならんのではないかと思うのです。ついつい、「こうだ!」と明確な答えをくれるほうになびきがちですもんね。「自分の頭で考え、咀嚼し、消化してから学習者に教える」という作業を怠らないためにも。実際問題、日々の授業に終われている身にはかなり難しいですが。
でも、やはり日本語教師にとっては必携だと思います。
日本語誤用例文小辞典(凡人社)
日本語学習者の文法誤用に焦点を当てて編纂したちょっと毛色の変わった辞典。学習者の誤用作文がずらっと並び、「なぜこのような間違いが起こるか」という説明がなされ、なんとなく読んでいるだけでも勉強になります。レベルは初級から初中級くらいでしょうか。文法の説明とか、教え方とかは別に書かれていないんですが、教える際に、何に留意すればいいのか、どういう間違いが起こりやすいのか、など有効な示唆を与えてくれます。初級を教えていたときは、ずーっと手放せなかった本です。「こんなこと、学生にはすぐにわかるさ」と思った内容にも、意外な落とし穴があることに気づくことも。学習者の思考回路を知るためにも有効です。