参考ネタ:NESTS裏総帥
原案:スーパーゴロツキさん
部屋に敷き詰められた畳が、晩夏の斜陽を浴び、
狂ったマルスの如き色に染まる。
我輩はこの道場の如き執務室にたたずみ、黙考する。
雌雄を決する日は恐らく近い時にある。
そしてその時こそが、我輩が全てを賭して闘わなければならぬ時なのだ。
我輩は、この宿命めが
不可避なるものとして我輩を捉えるまで引き延ばし先に送った。
我輩は恐れた、彼らとの正面切った闘いを。
臆病風等ではない、己の命等、少しも惜しいとは思わぬ。
我が命は既に一度捧げられしもの、何度でも喜んで捧げよう。
然し、もし今我輩が倒されたら、我輩が信じた、
そして多くの者に信じさせた理想は、
そして我輩の真実は一体誰が為のものか!
全てが陵奪され、我輩が預かり知らぬカルマへと堕ちていく・・・・
世界が永遠の闇の奈落に突き落とされる・・・・それが恐ろしいのだ!!
かつてあの日、我輩の役割は幕を降ろしたと思っていた。
狩猟民族が己の神が為、贄から心の臓を取り出すが如く、
我輩は、我輩を取り出し、人が為、全てを投げ打つつもりだった。
「後は無し・・・・我が後に来たれ、眠りよ・・・・。」
我輩が望んだは静寂。常世国に我が魂は浄化され、安らぎ、
焦・恨・怒もまた炎天下の水溜まりの如く蒸散し、
後には永遠(とこしえ)の夢が有ると。
だが死の底で見た様々なものに眠りを妨げられた。
一人の小物の詰まらぬ訴えだった。
その後も様々に訴えに来るものが絶えず、我輩は悩まされた。
何故我輩に求める?我輩は全ったき人でも無ければましてや神では無い。
訴願は、全くの個人的な内容の事もあれば、
世の行く末を愁うるものも多かった。
それが次第に迫り来る滅亡の予感に愁い、恐れ、嘆く思いに彩られている。
彼らだけに留まらず、
その他数多の小さき者の呟き、囁き、声無き声が伝わってくるのだ。
ある時、私はあらゆる命という命が悲鳴を上げ、業火に包まれ、
奈落の顎(あぎと)へと落ちていく幻影を見た。
無念の叫び、肢体のもがき、
我輩と目が合った少女の見開かれた眼(まなこ)・・・・
今でも脳裏に離れはしない。
否!否!否否否否否っっっ!!!!有ってはならぬ!!!
この如き暗黒の未来が有っては断じてならぬ!我輩は一人憂う。
そこに光が現れた。美しき光。
光は我輩の体に纏いつき、我輩に力を貸さんとする。
・・・・・良かろう。再び大地に立ちて人の世が為死なん。
そしてこの魂、お前に捧げよう。
光はダハーカ、惑星マンユの混沌の意志にして惑星ガイアの意志、
オロチの双子か・・・・・・。だがそれもいいだろう。
オロチの手に在る時代が捨てられし道を歩むなれば、
混沌の力をもってしても拾わねばならぬ。
残照は黄昏に溶け、我輩は残された時が少ないのを知る。
だが、是が非でも神に捨てられしこの不幸な時代を拾わねばならぬ。
その為の、ネスツ選り抜きの工作員達が
我々の計画を着実に推進していっている。
それが完了するまで何とか時間を稼がねばならない。
それさえ終われば・・・。
計画は、格闘家達のお陰で、大いに狂わされた。
然し、不思議と彼らを憎む気持ちにはなれなかった。
憎むとすれば・・・・いや、やめておこう。
神よ!ガイアよ!本当に貴方の思し召しは
あなたの初子である人を滅却に至らしむ事にあるのか?
我々の、『生きたい』という叫びは
地球意志・オロチの眷属共に踏み潰されてしまうのか?
それとも、我輩の抵抗は、無意味な、歪小な小虫の、滑稽な抗議、
蟻の一噛みにも及ばぬのか!?
然し、いつも貴方の思し召す通りになるとは限らない。
我輩は見せよう。取るに足りぬ小虫の力が如何なものかを。
ガイアよ!然と見よ!見届けよ!我が闘いを、我が魂を・・・・
そして貴方に逆らう、万霊の声を知れ!!
執務室にて、アエーシャマの独白
|