参考ネタ:サウスタウンチーム
by剛田さん
それはおそらくずっと前に始まっていたのだろう。
しかし、僕がそれに気づいたのはずっと後になってからだった・・・。
あの日、休暇を利用しての家族旅行から帰ってきたとき、
町の様子が明らかにおかしかった。高層ビルが倒れていた。
道路に瓦礫の山ができていた。
その中で人が呆然と立ち尽くしていた・・・。
嫌な予感がした。急いで自分の家があるはずの場所へ行ってみた。
・・・そこにあるはずの家は無かった。
いや、正確には家の残骸らしきものはあった。
・・・しかしそれが何だというのか。
これではとても家としての機能を果たせない。
ローンがまだ残っているというのに・・・。
さらに嫌な予感がした。
急いで自分のオフィスがあるはずの場所へ行ってみた。
・・・そこにあるはずのオフィスは無かった。
オフィスの残骸を、どうやら僕と同じ境遇らしい同僚達が眺めていた。
「一体何があったんだ?」
「わからない・・・こっちが聞きたいくらいだ」
結局、僕の勤めていた会社は倒産した。
元々あまり業績が芳しくなかったのだが、駄目押しされた形となった。
それよりも問題なのはマイホームの方だ。
もう一度建て直すには経済的負担が大きすぎる・・・。
妻と話し合った結果、マイホームはあきらめることにした。
しかし、土地を売ってもローンは後10年ほど残ってしまった。
ある夜、妻と口論になった。何が原因だったか良く覚えていない。
おそらく些細なことだったのだろう。
いつもならどちらかが謝って決着が着くのだが
(たいていは僕の方が折れていたが・・・)、
その時は僕も妻もどうかしていた。
いろいろなことが一度にあって精神的にまいっていたのだろう。
とうとう妻が離婚しようと言い出した。
今から考えると、本当に馬鹿なことをしたと思う。
僕は「それはこっちのセリフだ!」・・・と言ってしまったのだった。
妻は子供達を連れて実家に帰っていった。
しばらくの間は何もする気が起きなかった。
・・・何故こんなことになったのか・・・そればかり考えていた。
しかしながら、何もしなくても腹は減るし、金も減る。
ローンは僕が払うことになっていたし、
子供の養育費も毎月払わなければならない。
とある会社に再就職した。自分がまだ30代であることに感謝した。
やはり、40才以上の再就職は難しいらしい。
前の職場より安月給だったが、文句は言っていられない。
一体何が起きたのか?そして何が起ころうとしているのか?
残業していると見せかけながら、僕はオフィスのコンピュータを使い、
インターネットで情報を集め始めた。
無論、通信ログを残すような間抜けなことはしない。
私用でオフィスのコンピュータを使うのはルール違反だが、
僕は自分をだまし続けた。
・・・1ヶ月間、表サイトを調べた。
あの破壊のとき、天から光が降ってきたらしい。・・・衛星兵器だろうか?
これ以上の情報は望めそうにないので、
裏サイトの方を当たってみることにした。
今まで以上に気をつけながら・・・。
さらに1ヶ月・・・。
集めた情報から「ネスツ」なる組織があの破壊に関与している事がわかった。
僕は「ネスツ」について調べ始めた。
そしてついに、僕は「ネスツ」のページを発見した。
当然、パスワードを入力しなければこのページには入れない。
僕はパスワードを突破し、ページに侵入した。
だが・・・・・そこにある情報は僕には読めなかった。情報は暗号化されて
いた。どうしたものかと思案していると、
突然、警告メッセージが表示された。
どうやら、気づかれたらしい。
0.1秒の早業でコンセントからプラグを抜いた。
・・・機械が静かになってから再びプラグを入れ、再起動した。
ウィルスには感染していなかった。HDDの中身も無事だった。
深呼吸して、もう一度そのページへ行ってみる。
・・・消えていた。
・・・ページが消えていた。
・・・僕は夢でも見ていたのか?
僕は裏サイトにてさらに「ネスツ」についての情報を集めることにした。
それから、数ヶ月の時が流れた。
あれから、もうすぐ1年が過ぎようとしている。
町はかなり復興してきていて、あの破壊が嘘のようだ。
別れたきり会っていないが、子供達は元気だろうか?妻は元気だろうか?
会いたい・・・しかし・・・。
気分転換に、何気なく
「サウスタウンを愛する市民の会」のページをのぞいてみた。
そこでは「キング・オブ・ファイターズ」
通称KOFに参加する選手を募集していた。
KOFのことは調べていたが、それに参加しようとは思っていなかった。
僕には格闘は無理だ。
そこの裏ページに、「打倒ネスツ!」と書かれていた。
・・・これはちょっとまずいのでは・・・。ここは裏ページといっても
ほとんど表ページに等しいのに・・・。
「打倒ネスツ!」・・・
僕が今まで「ネスツ」について調べてきたのは、
いったいあの日、何が起こったのか、何故自分が、
そして町の人々が損害を受けなければならなかったのかを知るためだった。
そして今、僕はそれを知った。
あの破壊が「ネスツ」の衛星兵器によるものだと。
自分達が損害を受けなければならなかった理由は何も無いことを。
そして、理由はわからないが、
「ネスツ」が様々な兵器をつくっていることを・・・。
それを知って僕はどうするのか?何もせず、ただじっとしているのか?
・・・・・僕が調べたことを世間に公表しよう。
そしてKOFに参加し、「ネスツ」のことをもっと詳しく調べよう。
それは無謀なことかも知れない。
しかし、何故だかわからないが、今の僕にはできそうな気がした。
やる気に満ちていた。こんな気持ちは、本当に久しぶりだった。
KOFに参加する旨をメールで伝えた。一瞬、「ネスツ」の罠ではないか?
とも思ったが、そうではなさそうだ。
「ネスツ」が自分達の存在を
世に知られるリスクを冒してまですることではないだろう。
ページを新たに作り、自分が調べたことを匿名でそこに載せた。
そして僕がKOFに参加した後でこのページが見られるようにしておいた。
僕は家族に手紙を書いた。僕が今も子供達を、妻を愛していることを、
離婚したことを後悔していることを、電子メールではなく、手紙に書いた。
そして、落ち着いたらもう一度会いたいと・・・。
家族には、僕が「ネスツ」について調べている事を黙っている事にした。
その方が安全だから・・・。
・・・とうとう、KOFが開催される日がやって来た。
ここまで来たら、やるしかない。
自分にそう言い聞かせ、僕は試合会場へ向かった・・・。
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