◆刀匠・銘刀
倭の優れた刀工技術と、それを扱う刀のプロ。
倭が他の大国と並ぶ強国なのは、この要素もあるからだ。
●刀の質による分類
倭を代表する長物兵器「刀」。
その格付けは、造り込みによる質によって以下のように呼ばれる。
:極上業物(ごくじょうわざもの)
言葉が示す通り、文句無しに最高の出来ばえであり
切れ味も非凡以上に達する刀。
経験の優れた刀匠でも打てるか打てないかの
領域にある格で、鑑定額は100両桁の域に行く物もあれば、
1000両桁の域にあるとんでもない刀もある。
刀は素人が見ただけではどんな格かは見分けにくいので、
目が利く刀鍛冶か刀屋で見てもらえなければどんな格かもわからない。
:大業物(おおわざもの)
極上業物には及ばないものの、それでも半端ではない切れ味と
優れた質の良さを持つ非常に優れた格。
確認できる数は極上業物よりは多いが、
それでも入手はやや困難の範疇にある。
名のある武将や剣豪はこの格の刀を持つ人物がわりといるが、
そういった人物は苦労して入手した経験があるか、
良い幸運が向いていたかの人物になる。
:業物(わざもの)
この格付けならまだ上等物と呼べる格。
それでも切れ味は良く、刀屋でもわりと売っているが高価。
一人前の武士は大体この格の刀を持つの者が多い。
数打ち物(量産の刀)の刀では、
業物以上の領域には決して届かない。
:準業物(じゅんわざもの)
業物よりも性質は劣るが、位置的には「並」といえる程度。
刀屋でも手に入りやすく、並の武士が持つ刀は大体この格。
:なまくら
切れ味は確かにあるが、今ひとつ足りない刀の格。
極上業物と比較するとまさに月とスッポンの差にあり、
銘刀でもこの格なら刀屋でも多く見かける程度。
ただし、なまくらといえども包丁の切れ味を遥かに越える。
●黛(まゆずみ)
不思議な刀も打つ刀匠として、名はあまり知られていないものの
知る者にとっては高く評価されている刀匠の銘。
基本的に「黛」という銘は、初代のみを示す。
初代の本名は「桂源五郎黛」(かつらげんごろうまゆずみ)といい、
元は落ちぶれた陰陽師である稀代の刀匠。
五行の法に基づいて不思議な力を持つ刀をいくつも打っており、
彼の作品の中には「五霊刃」(後述)があるが、
「五霊刃」よりは劣るが非常に良い作刀として、
水流の力を秘めた刀「村雨蛟丸」(むらさめみずちまる)、
光明の力を秘めた刀「虚空一閃」(こくういっせん)、
暗黒の力を秘めた刀「夢幻朧月」(むげんおぼろづき)がある。
彼の死後、その技術を伝承している人物も存在していた為、
現在でも黛銘の術力刀を打つ鍛冶が幾名か、国内各地にいる。
しかし、その術力刀はさすがに初代の作品は及ばない。
●五霊刃(いたまのやいば)
倭に伝わる、霊力の宿った刃の武器で、合計五つ存在する。
黛銘の初代、古期の刀匠・桂源五郎黛が打った作品でもあり、
別名では「天下五行剣」(てんかごぎょうけん)とも呼ばれる。
「猛火羅刹」(もうからせつ)、「銀麗吼丸」(ぎんれいほえまる)、
「地鳴荒神」(じなりこうじん)、「旋風飯綱」(せんぷういづな)、
「雷光妖狐」(らいこうようこ)の五振り。
そのうち「雷光妖狐」は御雷鉛丸(主人公)が所持しており、
他の四振りは誰が所持しているか、所持されているのかも不明。
確かな事は、「猛火羅刹」のみは「刀ではない」という。
●天下五剣(てんかごけん)
倭に並ぶ銘刀の中で、最上の五つに数えられた名刀。
「童子切」(どうじきり)、「大典太」(おおてんた)、
「鬼丸」(おにまる)、「三日月」(みかづき)
「数珠丸」(じゅずまる)の五振り。
全てが古い時代に作られた名刀中の名刀で、
現在、幕府がその五つ全てを保管している。
●神剣(しんけん)
「天乃叢雲」(あめのむらくも)と「布都御魂」(ふつのみたま)。
双方とも神の力を宿した伝説の神剣で、古代の倭から存在する。
切れ味よりもその神聖な力によって強力な威力を持つ。
「天乃叢雲」は太古の出雲にいた土着の水神、
「ヤマタノヲロチ」の力の源とされていた剣で、
簡単に言えば「天乃叢雲」の剣のほうが
「ヤマタノヲロチ」の本体とも言っていい。
「布津御魂」は古の軍神「タケミカヅチ」の力を秘めた聖剣とも言われ、
「タケミカヅチ」自身が用いていた剣でもあるという。
「天乃叢雲」は尾張の国・熱田の社に、
「布都御魂」は常陸の国・鹿島の社に奉納されている。
●鬼族の五聖剣
鬼族の伝説に伝わる五つの聖剣で、
本来は悪鬼の武器を、鬼族の鍛治が打ち直したものだという。
「降魔の太刀」(ごうまのたち)、「瑠璃の魔剣」(るりのまけん)、
「明星の曲刀」(みょうじょうのきょくとう)、
「常闇の妖剣」(とこやみのようけん)、
「天照の大刀」(てんしょうのだいとう)の五つ。
何れも邪悪な力を退ける力を持っている。
この五聖剣の素材となった武器を持っていた悪鬼は、
死後、その罪を菩薩に許されて改心し、
菩薩を守る仁王となったという逸話があり、
一部の鬼族では「裏闇金剛」(りあんこんごう)として信仰される。
●備前長船(びぜんおさふね)
備前の国にある刀工の一派で、刀の銘としては非常に有名。
長船派の刀匠のうち「兼光」(かねみつ)の作品は、
「兜割り」や「鉄砲切り」と呼ばれるほど素晴らしい刀がある。
また、長船派の古い刀匠「長光」(ながみつ)も打った刀にも、
「大般若」(だいはんにゃ)という伝説の名物がある。
備前は刀工が盛んだけあって刀屋も多く、
ときおり大業物を扱う店もあるため、備前の国には
優れた刀を求めてあらゆる地域からやってくる浪人や剣士が多い。
●虎徹(こてつ)
全名・長曽祢興里虎徹入道(ながそねおきさとこてつにゅうどう)。
優れた銘刀の中ではわりと新しいもので、
その人気は正宗に近いほど高く、偽物も出回るほど。
長曽祢興里はもと甲冑造りの職人だったゆえに
鋼の鍛え方はすこぶる良く、刀身にもその精度が見て取れる。
●菊一文字(きくいちもんじ)
古い時代、天皇に刀を大いに評価された刀匠に授けられた証として
作刀の茎(なかご)に一六葉菊の紋章を切る事を許された。
また、その中で備前の国の刀工一派である
「一文字」(いちもんじ)という一派が打った刀には、
茎に菊の御紋と「一」の字があるため「菊一文字」と呼ばれる。
●正宗(まさむね)
倭には伝説化された刀匠が幾人か存在し、(「黛」もその一人)
「正宗」という銘の刀匠もその一人に入っている。
しかしその詳細はいまだ謎の部分が多く、
正宗の技術を受け継ぐ伝承者も既に居ないので、
定まった説がひとつも確立されていない。
その分、正宗の刀は銘刀を好むものにとって垂涎の品。
正宗の関係では作刀らしき刀が残るのみ。その正宗関係の刀のうち、
「如来正宗」(にょらいまさむね)という刀は下海柴彦が所有している。
●村正(むらまさ)
倭には伝説化された刀匠が幾人か存在し、
「村正」という銘の刀匠もその一人に入っている。
彼の打った刀は切れ味が魅入られるほどに恐ろしく、
その内の「妙法村正」(みょうほうむらまさ)という極上業物は
肥前の大名ひとりの手に渡り、その大名が所有しているという。
現在は伊勢の国に村正銘の技術を持つ人物や集団がおり、
その作品には「無形村正」(むけいむらまさ)という数打ち物もあるが、
「無形村正」はいくら数打ち物でも村正銘があるどおり、
品として出る本数も少なく、切れ味も一級品なので
業物級の非常に高価な品として出回っている。
なお、「無形村正」の価格は平均で30両。
村正銘の古刀には妖刀とされるものが数多く存在し、
妖刀として恐れられているうち、その代表とされる刀には
「妖刃村正」(ようじんむらまさ)と「魔神村正」(まじんむらまさ)があり、
「妖刃村正」は幾多も血に濡れたため呪われた村正ともいい、
手にして抜いた場合、人を斬って血を見ない限り
精神が落ち着かなくなるという呪縛によって苦しむという。
「妖刃」という名はその逸話で後付された。
「魔神村正」は、太古の悪霊が封じられているという刀とされ、
村正銘では最高にして恐ろしい切れ味を持つ極上業物。
「魔神村正」のみは「五霊刃」を越える妖刀ともされるらしいが、
「魔刀」として、何処かの祠に奉納されているらしい。
●鬼道怪丸(きどうかいまる)と左道夜刀神(さどうやとがみ)
刀の歴史では古い時代に製作された事は判明しているが、
誰が打ったのかまでは不明の極上業物ふたつ。
この刀を最初に使った人物は、この二本の刀を一組として
二刀流の技を操っていたという。
この二本の妖刀は所持者に呪いを与えるのではなく、
斬られた被害者を呪うという力の呪縛を持つ。
「鬼道怪丸」で斬りつけられて流血すると二度と血は止まらず、
血を流し尽くして死ぬという呪いがあり、
「左道夜刀神」で斬りつけられると、血肉と魂を蝕む
邪悪な毒に身体が波蝕される呪いがある。
完全に人を殺すためだけに打たれた刀ではあるが、
名だけが伝わっているだけで、どこにあるのかは不明。
その力ゆえ忌み嫌われて折られたという噂があるらしい。
●外道凶卍(げどうきょうまんじ)
正式名称・神非知外道凶卍(かみしらずのげどうきょうまんじ)。
制作の月日、刀匠のどちらも不明の極上業物。
倭に伝わる、いかなる妖刀すら足元にも及ばないほど
凄まじい呪いをもつ最凶最悪の忌まわしき妖刀。
その呪いは「魔神村正」さえも凌ぐほど忌まわしい。
人間どころか、妖魔や神霊ですら呪い殺すほどの
尋常にもならない異常なままの邪気と呪縛に満ち溢れ、
刃を抜かずに柄を触れても地獄行きというほど禁忌とされている。
この妖刀を清める浄化の法は一切存在せず、
また、この妖刀に勝る呪いも世界中には存在しない。
存在する事は確かだが、どこに存在するのかは不明瞭。
それゆえ逸話も数多く、偉大な名将を殺した刀だとか、
多数の神官や巫女を惨殺した刀だとか、
悪鬼が鍛え上げた刀だとかなど、黒い噂だけが伝わっている。
ある人は「修羅の印」とも言っているらしい。
●四大裏刀(よんだいうらがたな)
前述した「魔神村正」「鬼道怪丸」「左道夜刀神」「外道凶卍」の四つ。
倭の妖刀、魔剣の中で最も凄まじい呪いを持つ存在。
◎登場する銘有り武器の所有者一覧
※「?」と記されているのは「所有者未明」の意味
猛火羅刹黛:?
銀麗吼丸黛:?
地鳴荒神黛:?
旋風飯綱黛:?
雷光妖狐黛:御雷鉛丸
備前長船兼光:黒縄宗丸
茶釜割+瑠璃の魔剣:紅魔童子
冬月一文字光明:白千種松司
波平行安・薩摩拵:内邑満重郎
如来正宗:下海柴彦
魔神村正:?
鬼道怪丸+左道夜刀神:?
外道凶卍:?
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