銀の
-Airget Lamh-

原案:ハルベルトさん
■プロフィール
●ガントレット●
キャッチコピー:銀の腕 -Airget Lamh-
通称:カーティス
性別:男
年齢:24歳
身長:196cm
体重:76kg
国籍:イギリス
血液型:A型
職業:円卓騎士団員
趣味:カード占い
特技:ボクシング
好きなもの:風景画
嫌いなもの:懺悔室
大切なもの:友人の形見のグローブ
苦手なもの:女子供
好きな食べ物:日本蕎麦
好きな音楽:ブルース
得意スポーツ:ボクシング
武器銘:神拳アガートラーム
格闘スタイル:ボクシング
イメージボイス:中原 茂
■外見
かなりの長身で、筋肉質な痩せ型の男性。手足が長い。
濃い茶色の髪を短く揃えており、精悍な顔立ち。肌の色は白。
牧師のような黒いガウンを羽織っており、下は黒のズボン。
ガウンの背中には赤い十字架が描かれえている。
手はめたガントレットは、普段は服と同じ黒い色をしているが
能力を発動することで銀色に輝く。
構えはボクシング・スタイル。
■キャラ設定
円卓騎士団の一員。コードネーム「ガントレット」。
神宝「アガートラーム(銀の腕)」を持つ男。
ボクシングの元世界チャンピオンであり、
かつてリング上で親友を殺してしまった過去を持つ。
その後もリング上での「殺人」を繰り返し、挑戦者がいなくなった頃、
円卓騎士団からの誘いを受け、聖騎士団員となる(公式記録では失踪扱い)。

その後はボクサーとして磨いた格闘センスを元にメキメキと頭角を現し、
数年後には精鋭部隊「円卓騎士団」の一人に選ばれるまでになっていた。
円卓騎士団の中では新参の部類に入る。

感情を表に出さない無口で冷静な性格だが、
友人や他のボクサーたちを殺してしまったことに深い罪悪感を抱いており、
自分は許されるのか、という鬱屈した疑念を抱きながら戦っている。
彼にとって戦いの目的や善悪はさほど重要なものではなく、
ただ自分の罪を洗い流してくれる何かを求めて戦い続けているに過ぎない。

■神拳アガートラーム
ケルト神話においてダーナ神族の王ヌァザがつけていたとされる義手であり、
銀色に輝くガントレットの形をとって現代に伝わっている。
防具として使えば腕一本で大砲を跳ね返し、
武器として使えば拳一つで巨岩を砕く。
また、「手の届かない場所を殴る」等、
「神の手」に相応しく多彩な能力を秘めている。

しかし、その本質は「武具」ではなく「手」の延長。
すなわち人間が他者に働きかける器官の代表である「手」の能力を
最大限に引き出す装置であり、その能力は戦闘に限られたものではない。
使い手によっては他者を癒し、救うこともできる万能の神器である。
神話の時代より続く人々の争いの中で、本来の姿を忘れ去られ、
ただ戦いの道具としてのみ受け継がれている悲しき神宝。

■円卓騎士団
※詳細は「円卓騎士団」のページを参照。
■サブシステム
・ダッシュタイプ:フロントステップ/バックステップ
 フロントステップとバックステップが可能
 どちらもかなりのスピードと移動距離を持ち、出始めには無敵時間がある。
 相手をすり抜けることも可能。
 また、キャンセル可能な通常技からキャンセルして出すことができる。
 特殊技からはキャンセル不可能。
 ステップ中にレンジシフトのコマンドを入れると、
 モーション無しでシフトが可能。

・『ステップアタック』:フロントステップ中に攻撃ボタン
 文字通りステップしながらの通常攻撃。
 これにより、後述の「レンジシフト」で遠くからの通常技
 →キャンセルステップ
 →ステップ中に近距離にシフト
 →ステップアタック→キャンセル特殊技or必殺技
 という独特の連続技を使うことが可能。
 また、ステップアタックがガードされた場合、
 さらにキャンセルバックステップで距離を離すといった小技も可能。

・『パリィ』:各種攻撃ボタン
 通常攻撃で飛び道具をかき消すことが可能。

・『ストロング・パリィ』:各種攻撃ボタン
 後述の「解放」or「竜解放」後に「パリィ」が性能変化。
 通常攻撃で飛び道具を反射することが可能。

・『解放(リベレイション)』:PPP同時押し
「…リベレイション!」
 「円卓騎士団」の共通サブシステム。
 体力ゲージの残量に関わらず、パワーゲージを1本消費する。
 両手にはめたガントレットが銀色に輝き、力の一部を発揮する。
 通常攻撃で削りが可能になるほか、
 後述のサブシステム「レンジシフト」が使用可能になる。
 ┃
 ┗・『レンジシフト』:PK同時押し
  「……(台詞無し)」
   上記の「解放」を使ったラウンドのみ使用可能。
   一瞬腕を交差し、銀の手を光らせるモーションが必要。
   (ただし一部の特殊技や必殺技の最中に使えば
    モーション無しで使用可能)
   銀の腕が持つ力の一つで、「手の届かない場所」を殴る能力。
   ゲーム的には、投げと当身投げを除く全てのパンチ攻撃の攻撃判定が、
   拳から一定距離はなれた場所に発生するようになる。
   弱・中・強で距離が変わり、中は通常の位置より3キャラ分ほど先、
   強は6キャラ分ほど先に攻撃が出るようになる。
   弱で使用すると判定が手元に戻る。
   離れた場所に発生する攻撃判定は目に見えないため、見た目上は
   「遠くで空振りしているはずの拳が相手にダメージを与えている」
   という図になる。
   なお、中、強で攻撃判定を遠くに出している間、
   手元には逆に攻撃判定がなくなっているため、
   迂闊な使い方をすると逆にピンチを招いてしまう。
   当て身投げを上手く使う、適度に攻撃判定を手元に戻すなどの
   工夫が必要。

・『竜解放(ドラゴンバースト)』:+PPP
「ドラゴン……バースト!」
 「円卓騎士団」の共通サブシステム。「解放」のパワーアップ版。
 体力ゲージの残量に関わらず、パワーゲージを1本消費する上に、
 発動中は、徐々に体力ゲージが減っていく。
 神宝の「真の姿」を解放する技。
 銀の腕が蒸発するように消え、一瞬、半透明の老人の姿が現れたあと、
 カーティスの身体に吸い込まれるように消える。
 以後、カーティスは素手で戦うが、その戦闘力は格段に上昇する。
 銀の腕の本質が「人の手」であることに由来する能力。 
 上記「解放」と同じく通常攻撃が削り性能を持ち、
 「レンジシフト」が可能。
 さらにガードクラッシュ能力が非常に高くなり、
 ガードされてもラッシュでこじ開けるという強引な戦い方が可能になる。
 また、一部の必殺技が解禁される。
 なお、この状態で戦い続けると、
 徐々にカーティスの拳から血が流れ、真っ赤に染まっていく。

・『決闘(デュエル)』:+スタートボタン
「デュエルスタンバイ!」
 相手に向かってバラを放り投げる挑発行為。
 地につくまでに相手がバラを受けると「決闘」が開始される。
 双方が真正面から向き合うと、3秒のカウントダウンが始まり、
 より、0に近いタイミングでボタンを押すことを競う。
 カウント0になると、閃光と共に両キャラが画面中央で交差。
 負けた方のキャラは、超必一発分くらいのダメージを受け、
 バラの花びらを撒き散らしながら、その場に崩れ落ちる。

■格闘スタイル傾向
基本的にはボクサースタイルで、キックボタンを押してもパンチになる。
手足が長いため、通常技のリーチはかなり長く、
牽制をメインにして戦っても十分なダメージがとれる。
さらに「解放」時は「レンジシフト」によるリーチ調整が加わり、変幻自在。
連続技はステップと「レンジシフト」を絡めた独特の操作方法になるため、
やや難易度が高いが良いダメージ源になる。
ボタン同時押しで発動可能な当身投げ(カウンター)も存在するため、
遠距離で牽制し、飛ばせてカウンターで落とす、という戦術も。
■投げ技
・『グラスクラッシャー』:強P投げ
「フンッ!」
 鋭いフックで相手の顎を掠める。
 相手はよろめいて倒れる。
 
・『ワイルドナックル』:強K投げ
「甘いッ!」
 ショルダータックルで相手を弾き、
 その隙に追い討ちのボディブローを入れる。
■特殊技
・『ボディアッパー』:+中P
「フンッ!」
 姿勢を低くして踏み込み、ボディを突き上げる。
 発生はやや遅めだが上半身無敵。
 必殺技でキャンセル可能。

・『スイッチングジャブ』:+中P
「シッ!」
 ジャブを打ちながらバックステップする。
 動作中にモーション無しでレンジシフトが可能。
 発生が早く通常技から繋がり、必殺技でキャンセル可能。

■必殺技
・『ブラッディクロス』:KKK同時押し
「……」「(ヒット後)Bloody Cross……!!」
 上段・中段攻撃に対する当て身投げ。
 技後の隙は大きいが、コマンドの関係上、相手の攻撃に反応しやすい。
 攻撃を受けると、相手は攻撃姿勢のままスローモーションになり、
 攻撃部位からカーティスに向かって衝撃波のようなものが伸びる。
 それを沈みこんでかわし、突き上げるアッパーで反撃。
 相手の発した衝撃波とアッパーの軌跡が十字を描く。
 相手を吹き飛ばした後、カーティスは画面に対し背を向け、
 背中の十字架を見せ付けるポーズで台詞を言う。

・『ラッシングフラッシュ』:+P
「近づくな!」
 凄まじい速さのジャブを連発。
 弱〜中ならばガードされた後の隙も少なめ。
 まともに当たれば弱で7HIT,中で10HIT。
 強は10HIT後、ストレートでダウンを奪う。
 銀の手を解放した後は遠距離からの削り技としても機能し、
 シフトを使えば特殊技の「スイッチングジャブ」から繋がる。 
 「竜解放」後は強のストレートを放つ直前に極技でキャンセルが可能。

・『ブルホーンミキサー』:+P
「見えた!」
 低い姿勢でダッシュし、弱、中はそのままストレートを叩き込む。
 強はボディに一撃を浴びせる。
 弱、中のみ通常技や特殊技から連続技として繋がる。
 特に解放前はスイッチングジャブから繋がる唯一の技として重宝する。
 強は連続技としては繋がらないが、
 相手を一瞬無防備にさせ、通常技等による追い討ちを可能にする。
 銀の腕を竜解放した後は突進に飛び道具を無効化の効果がつく。
 飛び道具を回避しながら強ミキサー→通常技
 →スイッチングジャブ→強ラッシングフラッシュ→極技
 の連続技で「竜解放」時には大ダメージが狙える。

■極技
・『ブラッディクロス・ナイトメア』:+KKK同時押し
「……」「(ヒット後)BloodyCross……くぅっ!!」
 必殺技の「ブラッディクロス」とほぼ同じ内容だが、下段もカバー
 また、ダメージは飛躍的に上昇している。
 また、お互いの攻撃が描いた十字が通常版より明確に浮かび上がり
 真っ赤な十字架が描かれる。
 技の後、カーティスは一瞬、怯んだようなモーションを見せる。

・『ブラッディシルバー』:+P
「終わりだ!」「おあああぁぁぁぁぁ!!!!」
 銀色の光を纏ったアッパーを放つ。
 ヒットするとそのまま乱舞が開始され、相手を殴り続ける。
 「解放」時は強「ラッシングフラッシュ」から繋がるため、
 非常にゲージ効率が良い。
 その分、ダメージは極技の中では低め。

■神技
・『クラウ・ソラス』:+KKK
「…ぉお……おおおおおおおお!!!!」
 ダメージ以外の性能は「ブラッディクロス・ナイトメア」と同じ。
 演出は大きく異なり、十字の軌跡が銀色に輝き、
 十字架ではなく光の剣を形成。
 カーティスはアッパーの体勢のまま叫ぶ。
 剣は、そのまま光の柱となって上昇。相手を画面外まで打ち上げる。
■挑発
 画面側に背中を見せ、十字架の刺繍を見せる。
「……もうやめておけ」
■ファイナルダウン
「これが……裁きか……」
■登場演出
登場(通常A)
 リラックスした姿勢で瞳を閉じたまま呟く。
「さあ…」
 目を見開き、ボクシングスタイルで構える。
「……ゴングを鳴らせ!」

登場(通常B)
「………」
 シャドーで数発のジャブを放ち、無言で相手を睨みつける。

登場(通常C)
 軽くフットワークを踏みながら
「ここが俺のリングか……」
 呟いて構える。

登場(通常C)
 フードを被り、十字架を手にして登場。
「……神に祈るか、さもなくば……」
 フードを外し、十字架を投げ捨てる。
「闘るか!」

■特殊登場演出
登場(vs円卓騎士団)
「…………」
 無言のまま、銀の腕を光らせて拳を突き出す。

登場(vs神崎 鉄馬
 銀の腕を握り、問いかけるガントレット。
ガントレット「その拳……何のために握る?」
鉄馬「心の傷を越えるため…そしてアンタに勝つためだ!」

登場(vsイノリ
 不敵な笑みを浮かべ、掌をガントレットに向けて握りこむイノリ。
イノリ「この拳の中には夢がある! その重さ…君にわかるかにゃ?」
 ガントレットは拳を突き出し、イノリを見据える。
ガントレット「この拳で……砕ける夢もある」

■勝利ポーズ
勝利A
「………」
 背を向け、無言で拳を天に突き上げる。

勝利B
 倒れた相手を睨んだまま
「……もう終わりだと?」

勝利C
 舌打ちして背を向ける。
「お前はこの世界の住人じゃない……」

勝利(ブラッディクロス系で勝利)
 拳から血が流れる。
「リカルド……」

勝利(神技「クラウ・ソラス」で勝利)
 銀色に輝く腕を握り締める。
「クソッ……何が、神の腕だ!」

■勝利メッセージ
勝利A
「ボクサーの拳が凶器だと、知った時には遅かったな」

勝利B
「地を蹴り間合いを支配する。それがボクシングの"蹴り技"だ」

勝利C
「銀の腕、神の拳……しょせん殺し合いの道具なら、俺には相応しい、か」

勝利D
「どこまで行けば、俺は救われる…? ……俺は、許されたいのか……?」

勝利E
「友を殺した拳だ。お前を屠るぐらい、わけないさ」

■キャラ別勝利メッセージ
勝利(vs神崎 鉄馬)
「俺達の拳は人を殺せる……悪魔の兵器だということを忘れるな」

勝利(vsランス
「俺はアンタほど自分の道を信じられれん……ただ往くだけだ」

勝利(vsイノリ)
「拳を握って、笑っていられる……強さなのか、弱さなのか……」

勝利(vsゾル・ヴァレンタイン
「悟ったような顔をして逃げ回る恥を俺は晒さん。
 俺は……抗うと決めた!」

■キャラ別専用ステージ
・霧の公園
 朝もやにつつまれた明け方の公園。
 背景には遊具やベンチがあるのみで、人影は無い。
■キャラ設定(詳細版)
 カーティスはいつも夢を見る。
 黄金の右手が血に染まる。親友の頭蓋骨を砕く、硬く鈍い感触。
 歓声がどよめきに変わり、やがて悲鳴がリングを取り巻く。
 その混乱の中で、親友の死体を見下ろす自分が、
 まるで陽炎のように揺らめき……。

 カーティス・ブラウニング20歳の夏。
 世界チャンピオンへの挑戦権をかけた試合だった。
 相手は学生時代からのライバルであり、
 親友でもあったリカルド・アンダーソン。
 その宿命のリングの上で、悲劇は起こった。
 試合を決定付けるカーティスの猛烈なラッシュ。
 危険と判断した審判が試合を止める。
 だが興奮の渦の中、制止の声も届かない。
 彼は止まらなかった。親友が、もの言わぬ躯に成り果てるまで。

 不幸な事故。誰もがそう言った。
 だが、そうではない。
 そうでないことを彼だけは知っていた。
 彼は拳を止めることができた。
 彼には届いていた。制止の声が。
 そしてもう一つ、リカルドの名を呼ぶ、女性の声が。 
 エイプリル・エイリーがリカルドの名を呼んだ瞬間、
 彼の感情は爆発したのだ。
 彼女はカーティスとリカルドの、共通の想い人だった。
 カーティスは、彼女がどちらかといえば
 リカルドに惹かれていることを知っていた。
 だが、ボクサーとしてリカルドを上回れば。
 チャンピオンとして世界の頂点に立てば…
 愚かな考えだと自分でも分かっていた。
 ただの慰め。本気にはしていないはずだった。
 だがそれでも、彼は耐えられなかった。
 今、リカルドを倒し、頂点に立とうとする自分を、
 彼女が見ていないことに。
 ひたむきにボクサーとしての道を歩み続けてきた彼を、
 初めて暗い情熱が包み込んだ。
 彼は撃った。嫉妬と怒りに任せ、親友を殴り続けた。
 誰も彼を責めることは無い。どんな法律も彼を裁くことは無い。
 だが、彼だけは知っていた。
 自分は殺人者だ、と……。

 彼の伝説はそこから始まる。
 世界タイトル戦、無敗のチャンピオンを
 圧倒的なラッシュで沈めた彼に祝福は無かった。
 リカルドと同じ悲劇が起きたからだ。
 そして何度かの防衛戦。挑戦者たちもことごとく同じ運命をたどった。
 最初は彼に同情的だった周囲の人間も、徐々に彼を怖れるようになる。
 マスコミにより「死神カーティス」のあだ名が広まった。
 ある時、セコンドが言った。

「お前なら殺さないように勝てるはずだ。やりすぎるなカーティス」

 カーティスは黙殺した。
 挑戦者を睨みつけ、ファイティングポーズをとる。
 やがて冷徹な頭脳が敵のクセを読み取り、弱点を読み取り、
 血塗られた拳が確実な致死の打撃を放つ。
 自分は罪人ではない。
 リングに立つ限り、ボクサーであるかぎり自分は人殺しではない。
 手を抜けば、罪を認めたことになる。
 今までの殺人を過ちと認め、それを改めたのだと。だがそうではない。
 無罪を証明し続ける。許され続けるために手を抜くことはできない。
 それがさらなる罪を重ねる結果になろうとも……
 戦い続けることだけが、彼が殺人者の汚名から逃れる手段だった。

 戦いが終わる。今日も一人、天に召された。
 リングから降りた瞬間、罵声が耳に飛び込む。

「人殺しめ!」

 と……。

「次の試合を決めてくれ。できるだけ早くだ」

 セコンドに言い残してカーティスは去る。
 罪に怯える、子羊のように。
 その姿を、一対の瞳が注意深く観察していた。
 そして何度目かの「殺人」に騒然となる観客席の喧騒の中、
 ただ一人穏やかな表情で十字を切った。
 その瞳は、カーティスの人生に二度目の転機をもたらす瞳だった。

「弟子になれ、だと?」

 カーティスは耳を疑った。
 町外れの小さな酒場。グラスの氷が乾いた音を響かせる。
 目の前に座った老牧師は静かに頷いた。

「お主は住む世界を間違えたのだ。
 ワシはお前に相応しいものを与えるだろう」

 見た目はみすぼらしいながらも、
 牧師のガウンを羽織った老人の言葉にはどこか威厳があった。
 が、カーティスもそれに気おされるような男ではない。

「……悪いが宗教に格別の興味はない。神に救ってもらうつもりもな」

 傲然と言い放ち、顔を背けた。
 その横顔を、牧師の鋭い視線が突き刺した。

「そうかな? お主の戦いぶりはまるで救いを求める子羊のようだぞ」

 太いシワに隠れた牧師の瞳が、カーティスの意識を裏側まで射抜いた、
 と、彼は感じた。

「救いを、さもなくば裁きを、とな。
 お主は誰からも裁かれん。そして救いも無い」
「あんたなら俺を救ってくれるというのか」

 苛立ちをあらわにして問い詰めるカーティスを、
 柳が風を受け流すように軽くかわし、牧師は言った。

「ワシはお主を相応しい場所に連れて行こうというだけのこと。
 少なくとも、ここはお主の住む世界ではないよ」
「…………」

 老牧師の顔はシワに包まれ、表情を読み取ることすらできない。
 まるで岩か樹木と会話をしているかのようだった。
 だが、こちらの意志は全て読み取られている、ような気がする……。

「……具体的な話を聞こう。相応しい場所とはどこだ。
 弟子になるとはどういう意味だ」

 牧師は初めて笑みを浮かべた。
 だがその笑いすら、何を意図したものか分からない。

「お主は魔と戦う騎士になるのだ。騎士カーティスよ」
「騎士……だと……?」

 カーティスは再び耳を疑った。

 それから数年。
 彼は「円卓騎士団」の最上位に位置する
 十二人の一人にまで登り詰めていた。
 騎士団での毎日は、彼の想像をはるかに上回るものだった。
 人ならぬモノとの戦いの日々。超人の域まで達した人間同士による鍛錬。
 そしてその戦いに凄まじいスピードで適応していく自分自身の力。

「ここがお前の住む世界だ。生き延びることが出来たら、また会おう」

 それだけを言い残して牧師は去った。
 誰に問い詰めても牧師の行方はわからない。
 彼は今日も闘いの中に生きる。
 自らと同等の力を秘めた超人たちとの戦いの日々。
 それは神が与えた救いなのか、あるいは裁きなのか。
 それすらわからないまま、カーティスは示された道をただ歩む。
 秘密結社 ラーとの戦いの道を……。

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