三山木駅前周辺を歴史・文化ゾーンに

 京田辺市歴史民俗資料館(歴史博物館)の早期建設を要望    

       小泉芳孝

               水山春男

               高橋圭子 
   
一、住民参加による街
づくり構想

 関西文化学術研究都市の北の表玄関として「三山木地区特定土地区画整理事業」が、京田辺市により進められています。この事業は、JR学研都市線と近鉄京都線を高架化して駅周辺を土地区画整理事業により開発するものです。現在色々なところの街づくりは、結果としてデザインのみが重視されるがそのプロセスが軽視されている。それは町のつくり手によってのみ行われているため、住民など町の利用者がそのプロセスに参加する機会がない。その結果、町空間の完成とともに町は放置され、空間づくりが継続的街づくり活動へと発展することはあまりない。
 そこで三山木駅前の区画整理と街づくりは、二十一世紀に向けた豊かで穏やかな中心市街地にするために、街を訪れる人に目を向けたり、観光資源や歴史的資産の活用を行って、新しい観光資源の開発をする必要がある。具体的には、昔からの町並や地域の産業を活かし、地域のあるがままの姿を博物館に見立てて展示し観光客を呼び込んでいこうという街づくりを提案したい。従来から行われているゼネコンのみに任せるのではなく、住民参加型街づくりをはじめとする多彩な視点を持った街づくりへ多角的に取り組む必要がある。
 昨年の夏「街づくり市民の会」が、三山木駅の利用者や周辺住民約二百五十名にどのような街づくりを望んでいるのかアンケート調査した。その結果、駅前に必要な空間は、自然と安らぎ百四十五名・バリアフリー百三十一名・文化芸術総合センター百十一名という結果が出た。市の提案である自然との共生は、住民の第一の希望であることがわかる。また、安全な施設・道路のバリアフリー化を希望する声も高い。さらに「駅前文化施設・資料館」の建設実現を望む声が多くあり、街づくりのテーマを「かぐや姫の里」とするのには「何らかの核をテーマにして町の色が出てイメージにつながる」などの意見が寄せられた。行政に何を望むかは、「住民の意見を充分に聞いて街づくりをしてほしい」や、「きちんとした街づくり計画を立て緑豊かな安全で治安の良い住みよい町」を望んでいるという意見が多かった。アンケートの結果から、住民の多くが街づくりに関心を寄せている事がわかる。

二、三山木駅周辺を歴史あふれる文化ゾーンに

キャッチフレーズ
@三山木駅前全体のまちの顔づくり(テーマとデザイン)は、歴史とロマンの街”京田辺”を基本方針とする。
  街のイメージは「かぐや姫の里」であり、月の世界へ通じる地域としての空間を表現する。
Aこの基本方針は、駅前広場や多目的広場それに文化施設をつくる視点から「背景の“まち並み”」を考えて行く。

 大阪府と奈良県とに境を接する京都府京田辺市は、東に木津川が流れ西に生駒山系が連なるなだらかな丘陵地となっている。ここは京都市と奈良市の中間にあたり、古代から交通の要衝として数々の歴史を物語る多くの文化遺産が点在している。
 
 奈良時代以前には、京田辺市を大和から丹波に至る古山陰道が南北に通じていた。また和銅四年(七一一)には、現在の近鉄三山木駅周辺に平城京と太宰府を結ぶ古山陰・山陽道の宿所として山本駅が設置された。
 奈良に平城京がおかれた以前、京田辺市内は、かつて筒城宮といわれる都があった。この筒城宮は、河内の国「楠葉」で即位した継体天皇が五年後(五一一)に多々羅の「都谷」に遷都された所である。
 京田辺市の三山木駅周辺には、『竹取物語』にちなむ地名として「山本」 の他「山崎」「筒城」「筒城宮」「多々羅」「甘南備山」「月読神社」が存在し、神仙思想が溢れていて天女伝説を兼ね備えた地域である。現在この地域は、関西文化学術研究都市の北の表玄関として位置付けられ、京都府内でまちの発展が一番顕著な所とされている。これら学研都市一帯は、「知的特区」指定を目指し研究活動や人的交流を通じて経済の活性化を図る為に産学交流をめざした取組みがなされている。
 現在京田辺市内には、「歴史民俗資料館(歴史博物館)」という建物が皆無である。そこで三山木駅前区画整理区域内の核となる「京田辺市総合文化センター」を建設してはどうか。ここには、「歴史民俗資料館(歴史博物館)」「竹取物語ミュージアム」「南部住民センター」「音楽専用ホール」などを設ける。そして他府県の人でも気軽に来ていただける場所にするために、近鉄三山木駅とJR三山木駅から歩いて五分以内の所に建設する。
 三山木駅の場所は、京都・奈良・大阪のほぼ中心に位置し古くから文化が栄えた所であり、古くは継体天皇が筒城宮を置き、また仁徳天皇の皇后磐之姫命や神功皇后にまつわる話、それに日本最初の養蚕地や酒つくりの先祖である須々許里など、様々な伝承や伝説が語りつがれている。ここは同志社大学京田辺学舎の通学区域内でもあり、近鉄京都線とJR学研都市線の二つのアクセスがある。また三山木駅は、京都・奈良・大阪市内から三十分ないし一時間で来る事ができるので学研都市の「北の表玄関」として今後の発展が期待されている場所でもある。ここなら学研都市内でもあり同志社大学へ通う学生の研究にも役立ち、他府県からの人達も気軽に参加していただくことができ国の文化学術研究にも役立つ。
 さらに現在宇治市に「源氏物語ミュージアム」があるように、京田辺市郷土史会が取り組んでいる歴史とロマンの街『竹取物語』”かぐや姫の里”京田辺としての「竹取物語ミュージアム」も国の協力を得て建設計画をするのが望ましい。そうすれば学研都市の北の表玄関としてふさわしい駅に生まれ変わり、周辺の開発にも活気がでて、かつて栄えた筒城宮や山本駅の賑わいをみることになるだろう。 

三、京田辺市総合文化センター・市歴史民俗資料館(歴史博物館)などの構想

  @京田辺市歴史民俗資料館(歴史博物館)・・・
       考古、人類学、民俗、郷土史の資料を展示。
       “一休さん”や“かぐや姫の里”などの史跡名勝や、神社・寺院・史跡・名勝などの文化財、
       地域産業の宇治茶(日本一の玉露)など産地紹介する展示室、喫茶・レストラン。
       無形民俗(大住隼人舞・ずいき神輿・山本の百味と湯立・朔日講の神楽)
       民俗資料(風俗、信仰、儀礼、行事、有形無形文化資料の収集・保管・展示・研究)
     竹取物語ミュージアム(京田辺市内ゆかりの地、図面、物語絵巻物、全国ゆかりの地紹介、
                日本・世界各地「かぐや姫伝承地」の歴史、物語の内容・解説、資料の展示・研究。)                              
  A南部住民センター・・・中ホール(音楽専用ホール)・・・座席約三百席 リサイタル、室内楽コンサート、発表会、                     劇、映画、講演会、勉強会も可能なもの。売店、喫茶、レストラン。
                小ホール、文化教室、図書室、料理教室、茶室、視聴覚室・パソコン教室、展示室。
                野外フリースペース(催し物、フリーマーケット、地域特産品の展示販売等)。

<歴史民俗資料館や博物館の使命>
 市民に郷土の自然、歴史に興味と関心を促し、魅力ある地域社会を創るべき、市民の自発的学習の場を提供する。学芸員により歴史、芸術、民俗、産業、自然科学などに関する資料を収集して、調査、研究、展示、保存をする。百五十平方メートル以上の建物、陳列室、資料保管室、館長室、学芸員、年間二百五十日以上開館。

四、「歴史とロマンの街京田辺」をテーマに「かぐや姫の里」を考えた理由


 最近の新聞報道によるとタケが森林を駆逐するとある。これは京都府南部の竹林と森林の分布が、約35年間でどのように変化したかを調査され、空中写真から竹林判読作業の例がカラー写真で示された。それによると森林が竹の繁殖によって少なくなってきているようです。竹をほとんど利用しなくなった現在において、竹の活用方法を考えていかなければならない。
 竹には色々なよい効能や他の植物では出来ないことが沢山あり、茶道では茶杓・茶筅・蓋置き・竹垣・天井に利用されるなどされている。このように竹とお茶は、深い関係があり日本一の玉露の産地である京田辺にふさわしいと言える。また、東大寺のお水取りに使われる「竹送り」も天王の竹が使われている。この他、最近では竹酢液・竹炭や建築の材料など色々と活用され体にやさしい商品として見直されてきています。また、竹には不思議な呪術を持っているとされていて、古来から「地鎮祭」や「湯立て神事」などの民俗行事に取り入れられている。
 これらを訴え、見つめなおしてもらうためにも『古事記』にはっきりと明記されているかぐや姫ゆかりの京田辺に「竹取物語ミュージアム」を作り、そこで地元山城をはじめ日本や世界の竹の種類や特性それに活用方法などの展示や研究発表をし、また全国のかぐや姫伝説地のいわれや特色を展示していけば、ミュージアムの本領を発揮することができる。日本全国に「かぐや姫の里」と名乗る場所は沢山あるが、その中でも物語が出来る前の古い文献資料に基づいて説明できる地域の中で京田辺市が一番有力である。
 また『竹取物語』の中に書かれている内容には、教育上現在の子供達に必要な「生命誕生の大切さ・お年寄りを敬う心・人間の価値判断・・・」など、現在でも光輝いて訴え続けていて現在の私たちにとっても大変貴重なことが書かれています。しかも、『竹取物語』は、日本最古の物語であり日本最初の小説でもあります。『源氏物語』の文中には、『竹取物語』を祖としたと記され、『源氏物語』は、『竹取物語』を参考として書かれているほどです

五.三山木駅周辺地域についての住民アンケート結果  
 このアンケートは、平成十四年七月二十七日(土)に近鉄京都線の三山木駅改札前での調査と、広く地域住民の意見を求めるため市全域に配布したのとでまとめられた。 

 住民アンケート結果を分析された結果によると駅前に必要な物は、自然と安らぎ百四十五名・バリアフリー百三十一名・文化芸術総合センター百十一名・建物の保存と利用の順になった。また景観デザインは、同志社大学・京都の町屋風・スーパー飲食店にあわす、の順であった。意見としては、駅前に緑と水辺の空間や古材を利用した建物など自然を取り入れた街づくりが多かった。また、立派な駅前になるなら日展に入選した彫塑の作品があるので無償で提供したいという申し出もあった。
 商店街に必要な店舗は、住民それぞれの年代に応じた様々な生活に必要な店を望んでいる。そして、公共施設としては、大駐車場や駐輪場それに大手スーパー・各種医療機関・図書館など地域のニーズにあったものを望んでいる人達が多かった。
 町の歴史に関心あるかは、はい百二十名・いいえ四十八名で、町の歴史に対する関心が大変高い結果が出た。京田辺に長く住む方や学生の殆んどが「関心ある」と答えている。
 竹取物語ミユージアムや歴史資料館建設については、関心ある七十八名・必要五十四名・関心なし四十五名・その他三名の順であり、非常に関心が高く「必要」という意見の方が多かった。ゆえに竹取物語ミユージアムや歴史資料館の早急な建設実現が望まれる。
 「かぐや姫の里」をテーマにした街づくりは、良い百三名・わからない九十二名の順であった。しかし京田辺市に長い間住んでいる人達を見てみると「良いと思う」という意見が多かった。新住民や他府県を見てみると地域の良さを知らないためか「わからない」という意見であった。「かぐや姫の里」テーマの意見としては、「何らかの核をテーマにして町の色が出てイメージにつながる」「わかりやすく皆が知っている物語なので競合しても良く歴史的なものはアピールしたほうが良い」「街の色があるのは良いことだ」「おもしろい。一本筋が通る」。反対派は、「資料・研究が不足、無理があるし採算を考える必要がある」「田辺全体の歴史をテーマに展示を」という賛否両論だったが賛成派の意見の方が多く、会ではかぐや姫を軸としたまちづくり構想をふくらませたいとしている。
 まちづくりで協力できるのは、町のイベント九十四名・広場周辺の清掃三十一名・博物館ボランティア二十五名・フォーラム二名で、町づくりにかなりの人が参加したいという結果が出た。これは、市民の関心が駅前広場などで色々なイベントを開けば沢山の人達が参加していただけることをあらわしていて、それらのイベントが出来る場所や施設を望んでいるといえる。
 近鉄三山木駅の急行停車、地下鉄延長運転の希望は、はい百七十八名・いいえ三十四名という結果であった。そして、これらを実現するためにどのような運動が必要かと意見を求めた所「署名」や「地域大学と共同行動」や「せめて通勤通学時間だけでも」という切実な意見が出された。
 街づくりについて、行政に何を望むかについては、アンケートの中で一番多くの意見が寄せられていた。行政に望むことがこれほど多いということは、皆さんの街づくりへの関心が大変高く住民の意見を十分に聞いて街づくりをしてほしいという意見のあらわれであろうと思われる。特に目立ったのは、「きちんとした街づくり計画を立て緑豊かな安全で治安の良い住みよい町」を望んでいるという意見が多かった。
 京田辺市による三山木地区特定区画整理事業のキャッチフレーズは「若さあふれる快遊生活拠点の創造」です。約三十一ヘクタールの区画整理と道路及びJR、近鉄の高架化等の整備は進んでいるが、当初のイメージ模型にあるような地域の拠点になる商業施設や交流文化施設等の計画をする必要がある。三山木地区特定区画整理事業は、思い切った手法で文化ゾーンの創造を核とした市民参加の開かれた街づくりのモデルとして、市の南部文化施設構想を具体化せねばならない。 
 今までの街づくりは、自治体、企業、専門家などのつくり手だけで行っていたが、これからは市民やNPOなどまちの使い手による、街並みや、コミュニティ、ボランティア活動などとの複合的行為として実現せねばならず、ゼネコン主体の箱物づくりに終わらせないトータルデザインを市民を交えて試行する必要がある。


ここに掲載の各ページの写真および記事の無断転載を禁じます。
◇著作権は小泉芳孝と素材提供者に帰属します。

  copyright(C) 1999 Yoshitaka Koizumi. All rights reserved.

Ads by TOK2