稲作民俗の源流  Folk customs of rice growing

講演 「寿宝寺五大明王像について」    小泉芳孝
 
  講師 (財) 美術院 国宝修理所長 小野寺久幸
上記の小野寺久幸さんは、2004年5月18日の
NHK「プロジェクトX 挑戦者たち」で東大寺南大門の運慶作
仁王像大修復で取り上げられました!

 寿宝寺の千手千眼観音立像と同様に、 今回修理した五大明王の降三世明王と金剛夜叉明王は、平安時代中期の製作で檜材で作った等身大の物であった。 平成九年度に寿宝寺の新築にあたり、地蔵堂の中でバラバラになっていたのを(財)美術院 国宝修理所の小野寺久幸所長らにより修理した。その結果この像は、素地仕上げ古色で普通百年ごとに修理しているので現在までに三回修理していることが分かった。第一回は平安時代に、二回目は鎌倉時代頃に、第三回目は幕末か明治時代頃に修理していた。
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 二体の材木は約70センチ一木作りで6本の手と3面の顔があり、 像を軽くするのと日割れを防ぐために中をくりぬく「内ぐり」をしており、平安時代中旬からの特色をもっている。 また、仏像の衣の堀(衣文)は、 浅く穏やかで衣の裾が跳ね上がっていて平安時代の特色をもっているが、少し堀に奥行きがあるため平安時代中旬であるとされている。

 目は「彫眼」 で、平安末期から鎌倉時代の玉眼でなく、平安時代中旬の作と言える。 本来、五大明王(または五大尊・五忿怒)は、密教の中心的仏像で不動明王を中心に降三世明王(東)・金剛夜叉明王(北)・大威徳明王(西)・軍茶利明王(南)の五体からなっている。 これらの像は、中央の大日如来である不動明王以下の五仏が、衆生教化のため姿を忿怒形にかえたものである。 つまりおろかな衆生は菩薩の慈悲に甘えるだけでは救われない場合があり、これらのしからねばならない衆生に対しては牙をあらわす憤怒相の三眼の姿で命令を持って教化している。 明王は如来の厳しい命令を実行する使者である。 このため炎が上に燃え広がっているような髪で、沢山の手には悪をこらしめるための持仏を持った力強い姿をしていて腰等に薄い衣を巻き付けている。

 我が国でのみ存在する五大明王は六体ほどあり、その中でも東寺のものが平安時代初期の作で最も古く、高さは一.五メートルから二メートルもあり一番大きい物とされています。、それに次いで有名なのが大覚寺の五大明王で、この像は安元二年(1175)十一月十六日から三年にかけての平安末期に制作されたもので、作者は明円とされ三河僧正賢覚の求めによって作られたという来歴銘が台座裏に記されている。

 作者は京都三条に本拠を置く三条仏所の代表的仏師・明円で、伝統の形式を守り次代の鎌倉彫刻の力強さを合わせ持った過渡期の作品である。幽玄な黒褐色古色を漂わせた尊像で、高さは一メートルにも達しない小像で作風は精緻で衣の模様は彩色の上に切金を用いてあらわされている。平安時代末期の藤原的優美さでかつては五大堂に安置されていたが現在は収蔵庫に移されている。この他醍醐寺、奈良の不退寺、生駒の栄山寺の合わせて六体くらいが現存しているのみである。

  寿宝寺で修理された降三世明王の特色は、三面六ぴの口を開いて牙を出した忿怒像で、煩悩の根本である食欲・怒り・迷いを降伏させる明王である。
三つの右手には金剛鈴・剣・矢を、三つの左手には三叉げき・弓・索を持ち、さらに前の両手を中央で交差させた忿怒拳(降三世印)をつくり人差し指を立てている。 そして、この像の右足の下には上向きに寝転んだ男の大自在天(シヴァ)を、右足には女の妃の烏摩(ウマー)の異教神を踏み付けている。 これは煩悩退治を象徴しているようである。 烏摩(ウマー)は、インドの神話シヴァの神妃の一人で優美さと穏和さを表している。彼女は「最も美しいヒマラヤの娘」と呼ばれして『ラーマーヤナ』においては、ラクシュミー、ガンガーと並んで崇拝されている。
もう一体の金剛夜叉明王は、三面六ぴの口を開いて牙を出した忿怒像で、金剛杵(堅固)の威力で人間の障害を夜叉の力で取り除いてくれる明王である。 六つの手には剣・矢・弓・宝輪・五鈷・金剛鈴などをもつ。 特徴は中央の顔に五眼を持っている。

京田辺市郷土史会講演 開催日 平成9年7月19日        山本公民館にて

  

 

    「寿宝寺」のパンフから


┏━━━━┓
┃ 明王 ┃
┗━━━━┛この部分は「京都観光ガイドメールマガジン」と藤井正浩氏の
「五大明王」から頂きました.

 明王はもともとはインドの神々で、密教が仏教の世界にスカウトしたものです。
明王の「明」は、善法を守り悪法をさえぎる力を意味し、「王」は王様を意味しま
す。
 明王は大日如来の真意を奉持し、霊的な力で悪を砕く役目を持っています。すな
わち、大日如来は温和にしてまともに法を説きますが、煩悩のとりこになって救い
がたいとされた者を教化する時は、明王に命じてその憤怒の相をもって正法に導く
とされています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・五大明王
○不動明王を中尊として、その両脇に2体ずつの明王を配するのが五大明王です。
五大明王は五智如来の教令輪身で、四方の魔を調伏します。
 五大明王信仰は密教色が強く、ことに怨敵退散の威光を持つとされています。五
大明王は「五大尊」とも呼ばれ、嵯峨の大覚寺が有名です。
 不動明王の他には、
○降三世明王(ごうざんぜみょうおう)
 過去・現在・未来の三世の煩悩を滅するものです。
○群荼利明王(ぐんだりみょうおう)
 甘露または平安を意味するものです。
○大威徳明王(だいいとくみょうおう)
 六道を成就するものです。
○金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)
 火焔の強さで四方を睨むものです。

五大明王の「明」とは、「真言」(マントラ)を意味しているようで、明王は、真言の力
そのものを体現した仏である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
     ・不動明王(ふどうみょうおう)
 不動明王は、前述した通り大日如来の教令輪身が不動明王と説かれています。そ
の威厳に満ちた容貌から、全ての災魔を屈服させると言われ、さらに難行苦行に立
ち向かう者を守ると信仰されています。
 その姿は、右眼で天を、左眼で地を睨む「天眼地眼」で、口端に牙を覗かせた憤
怒の相で、神は1つに結んで垂らす弁髪の形です。右手には、煩悩を断ち切らせる
ために利剣(りけん)という剣を持ち、左手に煩悩を縛り上げるための羅索という
縄を持ちます。
 不動明王の脇侍の二童子は、矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制咤迦童子(せい
たかどうじ)で、不動明王の分身として仕えています。

サンスクリット語では「アチャラナータ」(恐ろしき大忿怒尊)といい、ヒンドゥー教・
シヴァ神の異名であり、五大明王の筆頭とされていて中央に配置される。
この像の後輩に激しく燃えさかる炎を背し、眼光が鋭く、右手には「降魔(ごうま)の
剣」を、左手には綱をもっている。
そして、矜羯羅童子(こんがらどうじ)、制咤迦(せいたかどうじ)の二童子を初めとして、
八大童子などの使者を従えている。
背後の猛火は、迦楼羅鳥の吐き出す火炎であり、「迦楼羅炎」(かるらえん)と呼ば
れている。もとはインドのガルーダとされ。龍(蛇)を喰らう金翅鳥であった。
仏教では鳥頭人身の姿でえがかれていて、八部衆のひとつとされている。
八部衆とは、仏法を守護する八種の神々のことで、天・龍・夜叉・阿修羅・乾闥婆・
緊那羅・迦楼羅・摩護羅伽からなっている。もとはインドの悪魔鬼神だったが、仏教に
とりいられてから守護神となったようである。
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降三世明王 (ごうざんぜみょうおう)
特色は、三面六ぴの口を開いて牙を出した忿怒像で、煩悩の根本である食欲・怒り・
迷いを降伏させる明王である。
三つの右手には金剛鈴・剣・矢を、三つの左手には三叉げき・弓・索を持ち、さらに前の
両手を中央で交差させた忿怒拳(降三世印)をつくり人差し指を立てている。 そして、この
像の右足の下には上向きに寝転んだ男の大自在天(シヴァ)を、右足には女の妃の烏摩
(ウマー)の異教神を踏み付けている。 これは煩悩退治を象徴しているようである。
烏摩(ウマー)は、インドの神話シヴァの神妃の一人で優美さと穏和さを表している。
彼女は「最も美しいヒマラヤの娘」と呼ばれして『ラーマーヤナ』においては、ラクシュミー、ガンガーと並んで崇拝されている。


軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)
サンスクリット語では「グンダリ」といい五大明王の1人で、南方に配されている。
また、八大明王として祀られる時には「大咲明王」(だいきみょうおう)と名が変わる。
阿修羅や悪鬼から人間を守護、障害を取り除いてくれる。また、歓喜天を支配して
いる。「宝生如来」(ほうしょうにょらい)の変化した姿であり、4つの顔で4本の腕をもつ
もの、1つの顔で4本の腕をもつもの、1つの顔で8本の腕をもつものなどがある。像の首や手足に赤い蛇がまとわりついている。


大威徳明王(だいいとくみょうおう)
 密教における五大明王の一人で、梵名を「ヤマーンタカ」といい、「ヤマを倒すもの」と
いう意味を持っている。「降閻魔尊」とも呼ばれ、6面6臂6足で、横たわる水牛に座し
ている。 金剛界五仏の一人として、文殊菩薩が化身したものとも言われている。


金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)
 サンスクリット語では「バジラヤキシャ」といい五大明王の1人で、北方に配されている。
過去、現在、未来の悪と欲をすべて呑み尽くし、取り除いてくれる。一般的には
、「不空成就如来」(ふくうじょうじゅにょらい)が忿怒の姿をとったものとされ、3つの顔
をもち、特に正面の顔には5つの目がついている。また、烏枢沙摩明王と同体とする説もある。
烏枢沙摩明王は物の不浄を取り除いてくれるほか、不浄除けの神様として、寺院などの
手洗所に祀られ、厠の守護神とされている。


金剛界五仏と五大明王の対応は

  中央 大日如来不動明王
  
  東方 阿しゅく如来→降三世明王
  
  西方 阿弥陀如来→大威徳明王
  
  南方 宝生如来→軍茶利明王
  
  北方 不空成就如来→金剛夜叉明王
となっている。

愛染明王(あいぜんみょうおう)
 サンスクリット語では「ラーガ」、「ラーガラージャ」、「マハーラーガ」などと呼ばれる。
本来は、人間の煩悩としての愛欲を、そのまま仏の悟りに変える力をもつ明王であるが、
もっぱら、恋愛成就の仏とみなされている。
真っ赤な姿をし、6本の腕をもつ。忿怒の形相をし、髪は逆立っており、その上に獅子の
首を表した冠(獅子冠)を戴いている。
 愛染さんの名で親しまれているこの明王は、文字通り「愛」の字から男女の恋愛
の願い事や、「染」の字から染色業者の信仰の対象になっています。
本来は人々の迷いのもとになる様々な愛欲の心を浄化することによって、その悩
みから救い、このような愛欲を平等の菩提心とも言える大きな愛へ転化させる力を
持つ明王とされています。すなわち、煩悩即菩提のシンボルであり、仁和寺にある
愛染明王が有名です。
 体は赤く、光背は円形で太陽を象った赤色です。真紅に燃える憤怒相をしており、
口から牙をむき出し、獅子冠をかぶっています。
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孔雀明王
 サンスクリット語では「マユリ」で、「孔雀」といい、蛇の毒を初めとする諸毒や災難を
取り除いてくれる。密教においては、釈迦如来が人々を教化するために現れた姿が、
孔雀明王であるといわれている。
孔雀の背に坐し、手には蓮華や孔雀の羽根をもっている。表情も優しく、このように
優美さを漂わせている点が、他の明王との大きな違いである。
 孔雀明王は、明王の中でも例外的に温和ないわゆる慈悲の穏やかな表情の菩薩形
で、金色の孔雀の背に乗っています。孔雀の羽を持ち、孔雀の広げた尾羽を光背と
します。
 現在、インドの国鳥である孔雀は、コブラなどの毒蛇の天敵として神格化されて
いました。それが仏教に取り入れられ、諸種の毒や災や病を除き、さらに天変地異
を鎮め、祈雨などの本尊とされています。
                           山本公民館


上記内容の詳細は、下記の本で御覧になれます。

 2001年2月下旬に、「稲作民俗の源流―日本・インドネシアー」として出版。
題名『稲作民俗の源流―日本・インドネシアー』
         上記本の写真と内容 詳細は左をクリック!

お読みになった方からメールをいただきました。

 「稲作民俗の源流―日本・インドネシアー」を読んでお礼のメールをいただきました。 2005年8月5日 21:36
ディスカバリーチャンネルなどででリポートされている方から
 とても中身が濃く、何度もまだまだ読み込める可能性を秘めた素晴らしい御本です! 
 御本の中にもありました「先祖と一体になる」という言葉!素晴らしい表現ですね。
 これは「感謝」の枠を超えた人生観であり、宇宙観であり、哲学だと感じました。


                                    次へ


『竹取物語』研究所(竹取の翁・かぐや姫)小泉芳孝
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